コラム

巨人春季キャンプ「WBCがもたらす4年に1度の熾烈な競争」

レギュラー候補の多くがWBCへ


 プロ野球キャンプイン間近、今年の開幕までの最大の見所は「4年に1度のアピールチャンス」である。

 WBCイヤーの2017年は各球団主力選手が代表招集され、彼らは2月下旬から所属チームを離れる。代表クラスのほとんどは自軍ではもちろん不動のレギュラー。つまり例年ならば、争うことすらできなかったポジションがキャンプ終盤からオープン戦にかけて1カ月近く空席になるわけだ。

 巨人では坂本勇人、菅野智之、小林誠司の3名が侍ジャパン選出。さらにカナダ代表のスコット・マシソン。メキシコ代表としてルイス・クルーズも招集。つまり、キャプテンのショートストップ、3年連続開幕投手の絶対的エース、昨季129試合に出場した正捕手、剛腕セットアッパーと二塁レギュラー候補助っ人の計5名が不在となる。

 これは投手陣はもちろん、二遊間と捕手を守る選手にとってはまさに4年に1度のアピールチャンスだろう。

遊撃は坂本のバックアッパー決定戦!?


 このメンバーから絶対的レギュラー坂本とクルーズがWBC期間中に不在になれば、オープン戦では今年5月に34歳になるベテラン寺内、昨季自己最多の50試合出場した吉川、16年イースタンで規定打席不足ながらも打率.320を記録した5年目の辻らがスタメンショートを競うことになるだろう。経験の寺内、守備と足の吉川、打力の辻、このバトルの行方は開幕一軍争いと同時に2017年シーズン「坂本勇人のバックアッパー決定戦」でもある。

【遊撃手の昨季出場数】
坂本勇人 131
寺内崇幸 10
クルーズ 8
吉川大幾 8
辻 東倫 2

全ての選手にチャンスがある二塁手事情


 メキシコ代表招集のクルーズだけでなく、片岡もジャイアンツ球場に居残り三軍調整。オープン戦では昨季一軍で打率.256をマークした2年目の山本を中心に、気が付けば早10年目を迎える中井や藤村も虎視眈々とチャンスを伺う。現状、決め手に欠き、すべての選手にチャンスがある巨人二塁手事情。秋季キャンプでニュースになった重信慎之介や立岡宗一郎の二塁挑戦もWBC開催中のこの状態を想定してのことだったのかもしれない。

 そして、もちろんドラフト1位の大学No.1内野手・吉川尚輝にも注目したい。上半身のコンディション不良でキャンプ三軍スタートとなったドラ1ルーキーだが、坂本&クルーズ不在の今オープン戦は最高のアピールチャンスだけに何らかの痕跡を残したいところだ。

【二塁手の昨季出場数】
クルーズ 72
寺内崇幸 33
片岡治大 25
山本泰寛 22
脇谷亮太 17
吉川大幾 12
中井大介 9
辻東倫 8
藤村大介 1

2年目の宇佐見に期待


 小林は2月23日から代表合宿参加。40歳の相川は二軍、カトケンは昨季限りで引退。年齢的に小林と競わなければならない20代中盤の鬼屋敷正人や河野元貴は三軍からのキャンプインだ。

 となると、俄然注目を集めるのがキャンプ一軍スタートとなる2年目の宇佐見真吾である。「打てる捕手」として城西国際大からドラフト4位で入団するもプロの壁にぶつかりイースタンで打率.198と低迷。だが、由伸監督も今季期待する若手としてこの宇佐見の名前を挙げており、恐らくオープン戦ではチャンスを与えられるだろう。

 ここ2シーズン、巨人で20代捕手がマスクを被ったのは小林ひとりのみ。チームの未来を考えても、宇佐見に懸かる期待は大きい。

【捕手の昨季出場数】
小林誠司 129
実松一成 19
相川亮二 15
加藤 健 2

 選ばれし者の恍惚と不安、二つ我にあり。一流選手達が集うプロ野球界のビッグイベントWBC。その開催期間中のオープン戦で繰り広げられる各チーム主役不在の熾烈な生存競争。4年1度のWBCイヤーだからこそ、今年の春季キャンプは面白い。

文=中溝康隆(なかみぞ・やすたか)
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