日本復帰後は苦戦が続く松坂大輔
まさかの大谷翔平の代表辞退に揺れた侍ジャパン。代役投手は武田翔太に決まり、気が付けば3月7日のキューバ戦まであと1カ月である。今回は第4回大会開幕前に過去のWBC3大会で活躍した元日本代表選手の今を見てみよう。
松坂大輔は、2大会連続MVPに輝いたミスターWBC。第1回大会は西武在籍時、第2回はレッドソックス在籍時に出場し、2大会計6試合に先発して6勝0敗の大活躍。06年はキューバとの決勝戦、09年はアメリカとの準決勝の先発マウンドを託される等、00年代の「日本のエース」と言えば間違いなくこの男だった。
しかし、09年シーズンは4月と6月に故障者リスト入り。のちにWBC前にすでに股関節を痛めていたことが判明。これ以降、日本人投手メジャー組の代表参加にMLB球団側が神経質になってしまった感は否めない。
松坂は08年18勝→09年4勝→10年9勝→11年3勝→12年1勝と年々成績を落とし、13年にはニューヨーク・メッツへ移籍する。15年からは日本復帰してソフトバンクに入団するも右肩手術に踏み切り登板なし。昨季は10年ぶりの1軍マウンドに上がるも、1回3安打4四死球5失点の大炎上。
なんとかモデルチェンジのきっかけを掴もうとオフには、プエルトリコのウインターリーグに参加して、16歳年下の岡本和真(巨人)と同じチームでプレーした。平成の怪物も今年9月に37歳。「元日本のエース」の復活はなるか?
松坂大輔(ソフトバンク/36歳)
【WBC成績】
06年 3試 3勝0敗 防1.38
09年 3試 3勝0敗 防2.45
第2回で活躍の片岡はキャンプ三軍スタート
西武在籍時の09年大会、片岡はその「足」で一気に全国区となった。大会最多タイの4盗塁。決勝の韓国戦では相手バッテリーから警戒される中、二盗を決め、一時勝ち越しのホームを踏んだ。
原辰徳監督は著書『原点』(中央公論出版社)の中で「サブの条件は足があり、守備のいい選手。そこで選んだのが内野の片岡と川崎(宗則)、外野の亀井(善行)。内外野のスーパーサブ3人の存在はとても大きかった。最終的に彼らがチームを救ってくれた」とその働きを絶賛している。
13年オフ、その原監督が指揮を執る巨人へFA移籍。15年には二桁本塁打・20盗塁を記録したが、昨季は度重なる故障に苦しみ、9月には左手首有鈎骨骨折で戦線離脱。わずか32試合の出場に終わった。
今キャンプは3軍スタートとなり、選手生命を懸けたプロ13年目のシーズンに臨む。
片岡 治大(巨人/33歳)
【WBC成績】
09年 7試 率.308 0本 1点 盗4
杉内は昨季一軍登板なし
3大会連続出場を果たした松坂世代の実力派左腕・杉内俊哉は、ソフトバンク在籍時の09年大会では5試合に中継ぎ登板。本職ではなかったものの、6.1回に投げ1本の安打も許さない快投を見せ、日本連覇の立役者となる。
この年は、シーズンでも15勝を挙げる活躍で、まさに投手として絶頂期を迎えていた。11年オフには巨人へFA移籍。12年から3年連続の二桁勝利を記録し、原巨人V3に大きく貢献するが、15年に右股関節の形成手術を受け、昨季はリハビリに費やした。
今キャンプではすでにブルペンで捕手を座らせて投球しており、順調な回復ぶりをアピール。2017年、あと8勝に迫った通算150勝の達成を目指す。
杉内俊哉(巨人/36歳)
【WBC成績】
06年 2試 0勝1敗0S 防5.40
09年 5試 0勝0敗1S 防0.00
13年 3試 0勝0敗1S 防2.45
こうして見ると、20代の全盛期に代表選出され侍ジャパンの連覇に貢献。30代を迎えた今、選手生活の岐路に立つ選手が多いことに気付かされる。
4年に1度のWBCイヤー。若き侍ジャパンの戦いぶりとともに、彼ら「元日本代表」のベテラン選手たちに注目してみるのもいかがだろうか。
文=中溝康隆(なかみぞ・やすたか)