プロ野球開幕からもうすぐ1カ月が経過する。
序盤から開幕ダッシュに成功した球団もあれば、戦前は優勝候補に挙げられながらも下位に沈む強豪も…と明暗分かれるスリリングな展開だ。ここでふと気になったことがある。この時期の成績はどこまでペナントの行方に影響するのか、と。
果たして、3月・4月に好調だったチームや選手は、10月にどんなシーズン成績で終えているのだろうか? 今回は“1年前”の昨季4月終了時の成績を参考に確認してみよう。
2位:広島 28試16勝12敗0分 0.5
3位:中日 28試14勝12敗2分 1.5
4位:阪神 30試14勝14敗2分 2.5
5位:ヤクルト 29試13勝15敗1分 3.5
6位:DeNa 29試9勝18敗2分 7.0
ご存知の通り最終的に広島が2位巨人に17.5ゲームの大差をつけて25年ぶりのリーグ優勝。しかし、4月終了時では僅差ながらも首位巨人を広島が追う展開だった。
19年ぶりの最下位に終わった中日もこの時点では3位につけている。とにかく5位ヤクルトまで3.5差以内にひしめく混セを感じさせる開幕1カ月だが、意外にもCS初進出を果たすことになるDeNAは借金9の最悪のスタートだった。
解説者の野村克也氏に「無理でしょ、ラミレス監督じゃ」と酷評されながらも、翌5月に16勝7敗1分と驚異の巻き返し。現在、セ最下位の中日もまだまだ逆襲可能ということだろう。
2オ:ロッテ 28試17勝10敗1分 -0.5
3位:日本ハム 28試13勝15敗0分 4.0
4位:西武 28試12勝14敗2分 4.0
5位:楽天 27試11勝14敗2分 4.5
6位:オリックス 26試10勝16敗0分 6.0
対照的なのがパ・リーグだ。4月終了時のAクラスとBクラスがそのままペナント終了時と同じ顔触れ。首位ソフトバンクと2位ロッテのゲーム差「マイナス0.5」が話題になったのは記憶に新しい。
最後は大谷翔平の投打に渡る活躍で逆転優勝した日本ハムは借金2ながらも3位につけていた。今季、好調で首位争いを繰り広げる楽天とオリックスが1年前は最下位争いをしていた事実も興味深い。
こうして見ると、4月終了時でセ・パの3位以内にいた6球団中5球団が最終順位でもAクラス入りしていることが分かる。やはり開幕ダッシュは侮れないようだ。
続いて個人表彰、同じく“1年前”の2016年3月・4月度月間MVPプレーヤーを見てみよう。
<セ・リーグ>
▼ 投手
菅野智之(巨人)
6試 3勝0敗 投球回48 防御率0.56 完封2 奪三振42
▼ 野手
ビシエド(中日)
28試 打率.347 34安打 9本塁打 23打点
ちょうど昨年の今頃、セ界に旋風を巻き起こしていたのが中日の主砲ビシエドだ。開幕から3試合連続本塁打、セ初の快挙となる外国人打者による来日1年目開幕月での月間MVP受賞で話題となった。しかし、左足首の故障にも見舞われ、終わってみれば22本塁打。あの鮮烈デビューからしたら寂しい本数だ。
投手部門の菅野智之は巨人の絶対的エースとして2試合連続完封を含む3勝を挙げ、4月は計4試合に先発して「自責点0」という抜群の安定感。だが、1年トータルで見ると最優秀防御率と最多奪三振の二冠獲得はしたものの、シーズンを通して打線の援護に恵まれず、最終的には9勝という不本意な成績で終わった。
<パ・リーグ>
▼ 投手
涌井秀章(ロッテ)
6試合 5勝0敗 投球回41.2回 防御率2.59 奪三振26
▼ 野手
メヒア(西武)
28試合 打率.315 35安打 10本塁打 28打点
パ・リーグ投手部門の涌井秀章も5勝0敗でロッテ移籍後初、自身7年ぶり3度目の月間MVPを獲得。絶好のスタートを切ったが、後半戦は失速し10勝7敗、防御率3.01でフィニッシュ。
パ打者部門のメヒアは4月24日の楽天戦で3打席連続本塁打を記録するなど、10本塁打、28打点で来日3年目の初受賞。年間成績も35本塁打、103打点と主砲として申し分のない働きで、シーズン終了後に推定総額15億円+出来高の3年契約を新たに結んだ。しかし、全体的にビシエド、菅野、涌井とプレーヤー部門は序盤に絶好調だと終盤息切れしてしまう選手が多いのは気がかりだ。
ちなみに今季はWBCで開幕日が例年より遅かったものの、いまだ本塁打が出ていない侍ジャパン4番の筒香嘉智(DeNA)は昨季3月・4月は8本塁打、17打点というスタート。7月に打率.429、16本塁打、31打点と固め打ちをして月間MVPを獲得した。今季も夏場の筒香の爆発に注目したい。
文=中溝康隆(なかみぞ・やすたか)
序盤から開幕ダッシュに成功した球団もあれば、戦前は優勝候補に挙げられながらも下位に沈む強豪も…と明暗分かれるスリリングな展開だ。ここでふと気になったことがある。この時期の成績はどこまでペナントの行方に影響するのか、と。
果たして、3月・4月に好調だったチームや選手は、10月にどんなシーズン成績で終えているのだろうか? 今回は“1年前”の昨季4月終了時の成績を参考に確認してみよう。
セ・リーグ順位表(昨年4月終了時点)
1位:巨人 28試15勝10敗3分 -3位:中日 28試14勝12敗2分 1.5
4位:阪神 30試14勝14敗2分 2.5
5位:ヤクルト 29試13勝15敗1分 3.5
6位:DeNa 29試9勝18敗2分 7.0
ご存知の通り最終的に広島が2位巨人に17.5ゲームの大差をつけて25年ぶりのリーグ優勝。しかし、4月終了時では僅差ながらも首位巨人を広島が追う展開だった。
19年ぶりの最下位に終わった中日もこの時点では3位につけている。とにかく5位ヤクルトまで3.5差以内にひしめく混セを感じさせる開幕1カ月だが、意外にもCS初進出を果たすことになるDeNAは借金9の最悪のスタートだった。
解説者の野村克也氏に「無理でしょ、ラミレス監督じゃ」と酷評されながらも、翌5月に16勝7敗1分と驚異の巻き返し。現在、セ最下位の中日もまだまだ逆襲可能ということだろう。
パ・リーグ順位表(昨年4月終了時点)
1位:ソフトバンク 25試14勝8敗3分2オ:ロッテ 28試17勝10敗1分 -0.5
3位:日本ハム 28試13勝15敗0分 4.0
4位:西武 28試12勝14敗2分 4.0
5位:楽天 27試11勝14敗2分 4.5
6位:オリックス 26試10勝16敗0分 6.0
対照的なのがパ・リーグだ。4月終了時のAクラスとBクラスがそのままペナント終了時と同じ顔触れ。首位ソフトバンクと2位ロッテのゲーム差「マイナス0.5」が話題になったのは記憶に新しい。
最後は大谷翔平の投打に渡る活躍で逆転優勝した日本ハムは借金2ながらも3位につけていた。今季、好調で首位争いを繰り広げる楽天とオリックスが1年前は最下位争いをしていた事実も興味深い。
こうして見ると、4月終了時でセ・パの3位以内にいた6球団中5球団が最終順位でもAクラス入りしていることが分かる。やはり開幕ダッシュは侮れないようだ。
春先に好調だった選手たちは!?
続いて個人表彰、同じく“1年前”の2016年3月・4月度月間MVPプレーヤーを見てみよう。
<セ・リーグ>
▼ 投手
菅野智之(巨人)
6試 3勝0敗 投球回48 防御率0.56 完封2 奪三振42
▼ 野手
ビシエド(中日)
28試 打率.347 34安打 9本塁打 23打点
ちょうど昨年の今頃、セ界に旋風を巻き起こしていたのが中日の主砲ビシエドだ。開幕から3試合連続本塁打、セ初の快挙となる外国人打者による来日1年目開幕月での月間MVP受賞で話題となった。しかし、左足首の故障にも見舞われ、終わってみれば22本塁打。あの鮮烈デビューからしたら寂しい本数だ。
投手部門の菅野智之は巨人の絶対的エースとして2試合連続完封を含む3勝を挙げ、4月は計4試合に先発して「自責点0」という抜群の安定感。だが、1年トータルで見ると最優秀防御率と最多奪三振の二冠獲得はしたものの、シーズンを通して打線の援護に恵まれず、最終的には9勝という不本意な成績で終わった。
<パ・リーグ>
▼ 投手
涌井秀章(ロッテ)
6試合 5勝0敗 投球回41.2回 防御率2.59 奪三振26
▼ 野手
メヒア(西武)
28試合 打率.315 35安打 10本塁打 28打点
パ・リーグ投手部門の涌井秀章も5勝0敗でロッテ移籍後初、自身7年ぶり3度目の月間MVPを獲得。絶好のスタートを切ったが、後半戦は失速し10勝7敗、防御率3.01でフィニッシュ。
パ打者部門のメヒアは4月24日の楽天戦で3打席連続本塁打を記録するなど、10本塁打、28打点で来日3年目の初受賞。年間成績も35本塁打、103打点と主砲として申し分のない働きで、シーズン終了後に推定総額15億円+出来高の3年契約を新たに結んだ。しかし、全体的にビシエド、菅野、涌井とプレーヤー部門は序盤に絶好調だと終盤息切れしてしまう選手が多いのは気がかりだ。
ちなみに今季はWBCで開幕日が例年より遅かったものの、いまだ本塁打が出ていない侍ジャパン4番の筒香嘉智(DeNA)は昨季3月・4月は8本塁打、17打点というスタート。7月に打率.429、16本塁打、31打点と固め打ちをして月間MVPを獲得した。今季も夏場の筒香の爆発に注目したい。
文=中溝康隆(なかみぞ・やすたか)