どら増田のオリ熱魂!〜第4回〜
オリックスのドラフト1位ルーキー、山岡泰輔が28日のロッテ戦に登板。6回を1失点で乗り切ると直後の7回、バッテリーを組んだ“同学年”の若月健矢と、代打に送られた宮崎祐樹のタイムリーで逆転。7回以降はリリーフ陣に託し、7度目の先発登板で嬉しいプロ初勝利を挙げた。
「あのピッチングがベストです」
山岡が「ベスト」と語ったのは、プロ2戦目の先発となった4月23日のロッテ戦(ZOZOマリン)。この試合は0-2で敗れてしまったが、わずか94球で8回を投げ切った。「27球で27個のアウトを取るのが理想」という山岡にとっては手応えを感じた試合だった。5月に入ってチームが絶不調に陥ったことも重なり、好投を続けながら初勝利まで時間を要してしまったが、かつて"ベストピッチ"を披露したZOZOマリンで初勝利を手にし、チームの10連敗を阻止した。
「若月とバッテリーを組めたらいいですね」
高校時代から日本代表として一緒にプレーをしていた同学年の若月とは、山岡がオリックスにドラフト指名された直後から、お互いに「プロの舞台でバッテリーを組むのが楽しみ」と話すほど仲がいい。今年22歳とまだ若い2人による物語も、今回の初勝利によりようやく幕を開けたと言えるだろう。先発投手が勝利投手になったのは、5月2日の金子千尋以来、若月が先発マスクをつけた試合で勝利したのも5月7日以来のことだった。
「もちろん、自分がやりたい調整法を100%はできないんですけど、他のチームだったらあり得ないでしょうね。オリックスで良かったです」
社会人時代「投げたいときに投げたい数を投げる」調整をしていた山岡に対して、プロの調整法に対応できるのか心配する声があった。「投げたいときに…」という考えは金子千尋と似ているのだが、ドラフト1位とはいえルーキーに、金子や西勇輝のようなマイペース調整を容認するとは考え難い。
しかし、春季キャンプの初日、他のルーキーがブルペンに入る中、山岡は2日目の午前中と午後の2回「投げたい数だけ」投げている。福良淳一監督は「自分の考えを持っているからね」と山岡のマイペース調整を容認したのだ。勝ち星こそついてこなかったが、7度の先発でクオリティ・スタート(先発投手が6回以上を投げて自責点3以下に抑えた登板のこと)が5回と、一定の成績を残し、首脳陣の期待に結果で応えてきた。
【山岡の登板成績】
4/13:ロッテ ● 6回0/3(3失点)
4/23:ロッテ ● 8回0/3(2失点)
4/30:ソフトB ‐ 6回0/3(0失点)
5/ 7:日本ハム ‐ 2回2/3(2失点)
5/14:西武 ● 6回0/3(4失点)
5/21:日本ハム ● 6回0/3(2失点)
5/28:ロッテ ○ 6回0/3(1失点)
「失敗を恐れたことがないんですよ。失敗を恐れてやらないのはもったいないじゃないですか。1度きりの人生、やりたいことをいっぱいやりたいんです」
こう話す山岡だが、野球以外にもやりたいことがたくさんあるという。
例えば…
「選手プロデュースメニューのリクエストを聞かれていくつか書いたんですけど、僕のイチオシはフレンチトースト!オリ姫はフレンチトースト食べてくれないですかね?(結果、第1弾は天つゆおろしたこ焼きが採用された)」
「アパレルやってみたいんですよね。グッズもプロデュースしてみたい。僕、DENHAMが好きなんでコラボジーンズとかできたらヤバくないですか?」
「今はダーツにハマってるんですけど、ダーツってチャラいイメージありますよね?」
などなど、話を聞けば聞くほど、山岡が『好奇心』と『探究心』を常に持ち合わせていることがわかる。また、サプライズを仕掛けて他人を喜ばせたり、「ありがとう」と言われるのが好きという人懐っこい性格は、誰からも愛されるタイプだ。
「ファンの皆さんには、僕が勝つことで『ありがとう』と言われたいですね」
そう語る山岡は4月23日から6週連続で日曜日に登板中だ。しっかりとローテを守り、オリックスの“Mr.サンデー”となっている。次なる登板予定は6月4日(日)の巨人戦(東京ドーム)。巨人の先発は「対戦するようなことがあれば負けなくない」と語る“運命のライバル”田口麗人が有力だ。
瀬戸内高校時代の2013年夏、山岡は広島県大会の決勝で田口擁する広島新庄高校と対戦し、延長15回引き分け再試合の末に投げ勝っている。“再戦”が実現すれば注目を集めることは間違いないだろう。ファンに歓喜の瞬間を届けるため。恐れを知らないルーキーの快投に期待がかかる。
文=どら増田(どらますだ)