21試合連続安打で急上昇
ソフトバンクの柳田悠岐が絶好調だ。
開幕直後はエンジンのかかりが遅く、打率は一時2割台前半まで落ち込んでいたものの、ここに来てようやくのお目覚め。5月17日のオリックス戦から6月9日の阪神戦にかけて21試合連続安打を記録し、打撃成績をV字回復させた。
ここまで59試合で打率.309はリーグ8位の成績。15本塁打はリーグ2位タイ、53打点はリーグトップタイ。気がつけば主要3部門でリーグ上位に食い込んでおり、盗塁12もリーグ3位とさすがの成績を残している。
特に交流戦に入ってからの活躍は、神がかっているとも言えるレベルだ。
6月3日のDeNA戦、さらに7日のヤクルト戦でそれぞれ1試合2発のアーチを描くなど、ここまで12試合で打率.388、7本塁打、21打点の荒稼ぎ。打率はチームメイトの中村晃(.391)に次ぐ2位だが、本塁打と打点はいずれもトップの成績である。
特に打点は、2位のデスパイネと鈴木誠也の12に9つの差をつける独走状態。まさに手がつけられない状態となっているのだ。
交流戦の最多打点記録更新へ
ここで過去の交流戦個人成績を振り返ってみよう。
2007年から昨季までの10年間における最高打率は、2015年に秋山翔吾(西武)がマークした.432。プロ野球記録であるシーズン216安打の金字塔を打ち立てた年だけに納得である。そして、2位は柳田が同年に記録した.429となっている。
本塁打は2012年に中村剛也(西武)が記録した12本が最高。次いでローズ(オリックス/2007年)、ブランコ(中日/2009年)、山崎武司(楽天/2010年)の3人が11本で並ぶ。
打点王は32打点をたたき出した2012年の中村。この年の中村は本塁打と打点の二冠に輝いている。29打点で2位につけたのは2008年の金本知憲(阪神)。3位はラミレス(巨人/2008年)ら4人が記録した24打点となっている。
しかし、これらはいずれも交流戦が24試合制だったときの記録。現在と同じ18試合制になった2015年以降で見ると、本塁打では2015年に畠山和洋(ヤクルト)が記録した9本、打点は昨季ヤクルトの山田哲人が残した21打点が最高だ。
今季の柳田は6試合も残した状況で早くもそれらの数字に迫っており、いかにハイペースで本塁打と打点を挙げているかがわかるだろう。
昨季は大台の100四球を選び、出塁率や長打率で傑出した数字を残しながらも、2年連続トリプルスリーへの期待があまりに大きかったためか、成績に見合うほどの評価をされなかった印象もある柳田。今季は“ミスター・フルスイング”の面目躍如となるか…。
開眼したギータは、史上初の交流戦三冠王、そして2年ぶりのトリプルスリーへ向かって走り続ける。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)