どら増田のオリ熱魂!〜第7回〜
オリックスの中島宏之が、17日のDeNA戦(横浜)で日米通算1500試合出場を達成した。オリックスに移籍して今年で3年目を迎える中島だが、この2年間は怪我や不調に悩まされてきた。
しかし、昨シーズンの後半からは中島本人も「西武時代の感覚が戻ってきた」と話すなど復調の兆しが見えはじめ、今シーズンはここまで離脱することなく、オリックス打線の中軸を担っている。交流戦では武田健吾に次ぐ打率.305の成績を収め、チームの交流戦打率1位(.276)にも大きく貢献した。
あれから6年…
中島のオリックス移籍が発表されたとき、一部のファンの中には中島に対してアレルギーを持っている者もいた。これは西武時代の2011年7月11日(西武D)に、当時オリックスの高宮和也(現 阪神)から死球を受けた際、中島が激怒。試合後に「(オリックスは)しょうもないチーム」と発言したことに、端を発している。
しかし逆に、「あのナカジがオリックスを選んでくれたんだから、俺はナカジを応援する」と言って、ユニフォームを購入したファンも数多くいた。
先日も試合中、外野席で中島のユニフォームを着ていたファンと話す機会があり、「移籍してきてからずっと応援していて良かった。ナカジに来てくれてありがとうと言いたい」と熱く語ってくれた。
この話を中島にすると、「ホントですか?めっちゃ嬉しいですね。オリックスに来てからずっと応援してくれているファンの方にありがとうと伝えてください」と目を輝かせていた。
外国人選手活躍の陰にナカジあり!?
これまで中島はチームやファンに認められようと様々な努力をしてきた。外国人選手のインスタグラムに中島が写っていることについて尋ねると、こんな答えが返ってきた。
「西武時代から何故か外国人選手にちょっかい出されてて、日本人が行かないような飲食店に連れてってもらってたんですよ。日本人だって海外に行くと、しっかりした和食が食べたくなったりするじゃないですか。なので、そういう店に連れてってあげるんです」
中島が外国人選手と積極的にコミュニケーションを取っているのは、メジャーに挑戦した経験からと思われがちだが、実は西武時代の経験が生きている。
モレルらオリックスの選手に限らず、他球団の外国人選手も一緒に連れて行くこともあるそうで、「彼らが日本で成功するために少しでも役に立てればいいですね」と話す。
オリックスの外国人選手活躍の陰には、誰にでも優しく接する中島の存在も大きい。今年は中島につられるように、他の日本人選手も外国人選手とコミュニケーションを取るようになってきた。中島効果はこんなところにも表れている。
ファンサービスといえばナカジ
そして、“ファンサービスといえば中島”と評しても過言ではないほど、中島のファンサービスには定評がある。
6月10日の中日戦(京セラD)では、8回に適時2塁打を放ちチームが逆転。“第1号”本塁打を放ったマレーロとともにヒーローに輝いている。この日は男性ファン対象のイベント『Bsオリ達デー』として開催されており、勝利を収めればヒーロー選手とグラウンドでハイタッチができるという企画があった。
抽選で選ばれた200人の男性ファンクラブ会員が集合したのはビハインドの8回。中島がタイムリーを放つと、逆転を信じて京セラドーム1階の控室に設置されたモニターを祈るような目で見ていたファンの歓声と拍手が、広い京セラドームのフロア中に轟いた。
「あのハイタッチは200人もいたんですか。ヒーローになって外野まで走って挨拶して、ハイタッチをしたりすると、みんな笑顔で声をかけてくれるんですよね。あれを見ると僕も、『もっとええとこで打ちたい』って思いますね。打ったときに、あの球場が盛り上がる感じはホント嬉しいですよ。いつもファンの皆さんには感謝してますし、出来る限りのファンサービスはしているつもりなんですが、まだまだ足りないところもあるので、そこはもっとやりたいですね」
話を聞いたのがヒーローになった翌日ということもあり、中島のファンに対する熱い思いをしっかりと聞くことができた。ビジター球場でも隙があればサインをしている姿を頻繁に見かける。キャンプでは写真撮影のリクエストにも笑顔で気軽に応えている中島だが、ファンサービスにまだ満足していないとうから驚きだ。
“オリックスの”ナカジへ
「毎年、うまくいったと思ってやっているのに、ダメなときがあるのでシーズンが終わってみないとわからないですね」
昨年オフからの調整が成功しているかどうかに関しては、冷静に自己分析していたが、現時点では「うまくいっている」という。
ファンサービス、外国人選手へのフォロー、そして小谷野栄一とともに若いチームの支柱となった中島は、移籍3年目にしてようやく“オリックスの”ナカジになれたのではないだろうか。
シーズンが終わり「今年はうまくいきました」という声が聞けたとき、チームの順位は今より上にいるに違いない。
文=どら増田(どらますだ)