復活した鉄腕
セ・リーグの3位争いが激しさを増している。現在3位にDeNAがつけているが、3ゲーム差で中日が4位。5位の巨人が中日を0.5ゲーム差で追いかける展開だ。
25日の巨人対中日の一戦は、巨人が逆転サヨナラ勝ちを収め、連敗を2でストップ。同時に中日は連勝が4でストップした。連勝がついえた中日だが、あるベテラン左腕の奮闘ぶりが目立っている。
42歳の鉄腕・岩瀬仁紀は、5月21日の広島戦で2失点を記録して以降、13試合連続で無失点を継続中。その期間、11回1/3を投げ、被安打3、奪三振9を記録。23日の巨人戦では、3年ぶりのセーブも手にした。
岩瀬といえば、1年目の1999年から2013年まで15年連続で50試合以上に登板。歴代最多の403という通算セーブ数もさることながら、長きにわたって第一線で投げ続けてきたその鉄腕ぶりは、2002年から11年連続Aクラス入りというドラゴンズの強さに象徴でもあった。
ところが39歳で迎えた14年に歯車が狂い始める。この年の防御率は13年ぶりの3点台(3.52)に落ち込み、シーズン終盤には、左肘の故障が判明。登板数は自己最少となる34試合に終わった。続く15年も、左肘の故障は癒えず、まさかの全休。オフには年俸2億5000万円(推定)ダウンという屈辱も味わった。
復活を期した昨季は、2年ぶりの実戦登板を果たすも、15試合、防御率6.10と全盛期の投球にはほど遠く、そのまま現役引退もささやかれた。
そして、迎えた2017年。森繁和新監督の下、3年ぶりに開幕一軍を勝ち取ると、ここまで31試合に登板。防御率2.63、ホールド数はチームトップの17をマーク。守護神・田島慎二につなぐ、貴重なセットアッパーとして存在感を示している。
先日は、3年ぶりに挙げたセーブが大きく取り上げられたが、岩瀬が次に狙うのは登板数歴代1位の座だ。現在の通算登板数は935試合。歴代1位の米田哲也氏が保持する949試合登板まで14試合に迫っている。今季このままのペースで登板を重ねていけば、8月には大記録を更新するだろう。
米田氏が1977年に引退して以降、この記録に近づく投手は現れる気配すらなかった。そんな40年前に築かれた大記録に手の届くところまで来たのが、大学・社会人を経て24歳でプロ入りした岩瀬である。
アクシデントさえなければ、歴代1位の949試合超えは間違いないだろう。そして、次に岩瀬に狙ってほしいのが通算1000試合登板という前人未踏の偉業だ。
デビューから18年、中日一筋で過ごしてきた鉄腕投手にはまだまだやり残したことがある。
文=八木遊