かつての最大の弱点
長きに渡ってパ・リーグの上位に君臨していた西武だが、近年は低迷が目につく。
その元凶となっていたのが、安定しない中継ぎ陣だった。過去5シーズンのチーム救援防御率と順位を振り返ってみよう。
【西武・救援防御率と順位】
2013年 防3.91(リーグ6位)/最終順位:2位
2014年 防3.46(リーグ4位)/最終順位:5位
2015年 防3.43(リーグ4位)/最終順位:4位
2016年 防3.42(リーグ4位)/最終順位:4位
2位に入った2012年と2013年でも、救援防御率は最下位。2012年はわずか3ゲーム届かず日本ハムにリーグ制覇を譲った。勝負の世界に“たられば”は禁物だが、もしリリーフ陣がもう少し安定していれば…。結果は変わっていたかもしれない。
そして、なんとかリリーフが整備されてきた頃にはかつての強力打線は影を潜め、拙攻・拙守による取りこぼしが増加。苦しい中継ぎ陣を筆頭に、投打のかみ合わないシーズンが続いている。
今季は軒並み優秀な成績!
ところが、今季のリリーフ陣はというと、うって変わって絶好調だ。
ここまでの救援防御率2.80は、ソフトバンクに次ぐリーグ2番目の数字。ソフトバンクのリリーフ陣は防御率2.13とズバ抜けた安定感を誇っているものの、首位を走る楽天を支える強力リリーフ陣(2.90)よりも好成績を残しているのだ。
【西武の主な中継ぎ陣】※15試合以上に登板
シュリッター 41試(41.0回) 0勝2敗26ホールド 防1.54 WHIP1.27
牧田和久 37試(41.1回) 1勝3敗23ホールド 防1.52 WHIP1.04
武隈祥太 37試(35.1回) 2勝1敗9ホールド 防2.29 WHIP1.10
増田達至 31試(30.1回) 1勝3敗19セーブ 防2.97 WHIP1.09
大石達也 20試(19.1回) 2勝0敗4ホールド 防0.93 WHIP1.09
平井克典 16試(18.2回) 1勝0敗 防1.45 WHIP1.07
野田昇吾 15試(12.1回) 0勝0敗 防1.46 WHIP1.14
19日のソフトバンク戦では牧田が敗戦投手となるなどリリーフ陣が踏ん張れずに敗れたものの、個人の成績を見ると優秀な数字が並んでいる。
なかでも大きなポイントとなっているのが、かつてのドラ1右腕・大石達也の復活である。
逆転Vの原動力となれ
7月12日のロッテ戦で今季初失点を喫し、後半戦初戦のソフトバンク戦でも失点を喫したものの、ここまで20試合の登板で防御率は0.90。抜群の安定感を誇っている。
ドラフト時には6球団が1位で指名した目玉だったが、プロ入り後は思うような結果を残せずに苦しい日々。期待も大きかった分、厳しい声も多く浴びてきた。
それでも、昨季途中から中継ぎに定着すると、キャリア最多に迫る36試合に登板。防御率1.71という成績を残し、復活を予感させた。そんなシーズンを経て、迎えた今季の大活躍。ついに覚醒した、と言っても過言ではないだろう。
3年連続Bクラスの屈辱からの脱却へ。19日の敗戦で自力優勝が消滅し、上位を走る楽天・ソフトバンクとの差は離れつつあるものの、“3位確保”はまだ早い。かつての弱点だったリリーフ陣が、逆襲のレオの支えとなる。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)