暑さに対する経験がモノを言う!?
8月も半ば、各チームも100試合前後を消化するなどペナントレースも佳境に差し掛かってきた。一昔前とは異なり、昨今のペナントレースは3位までに入れればクライマックスシリーズ出場、ひいては日本一になるチャンスもあるだけに、勝負どころのこの季節になるとひとつでも多く勝つために実績のあるベテラン選手が起用されるケースも見受けられる。
元来、プロ野球界では実績に乏しい若手選手はシーズン開幕からアピールする必要があるが、すでに実績のあるベテラン選手は徐々に調子を上げていく傾向がある。レギュラーの座を脅かされることがないためか、はたまた優勝争いの重要な時期であるシーズン後半に体力を温存しているのかは定かではないが、そういった傾向があるように感じる。
そこで、ベテラン選手たちの昨季の8月以降と今季の8月成績を調べてみた。
ベテランの多い中日は8月以降好調に調子を上げる
2017年シーズンをもって、35歳以上になる選手は78名。さすがに全員では数が多すぎるので、さらに年齢を上げて38歳以上&今季レギュラークラスの活躍をした選手に限定してみる。今季ここまでに、野手なら200打数以上に立ち、投手なら50イニングor30試合以上に登板した選手という基準を設けると、該当する選手は9名となった。
▼岩瀬仁紀42歳(中日)
<昨季8月以降の成績>
6試合 0勝1敗 防御率6.75
<今季8月成績(8月12日現在)>
4試合 1勝0敗1セーブ3ホールド 防御率0.00
▼新井貴浩40歳(広島)
<昨季8月以降の成績>
打率.241 7本塁打 28打点
<今季8月成績(8月11日現在)>
打率.316 0本塁打 3打点
▼福留孝介40歳(阪神)
<昨季8月以降の成績>
打率.277 6本塁打 20打点
<今季8月成績(8月12日現在)>
打率.414 3本塁打 10打点
▼荒木雅博39歳(中日)
<昨季8月以降の成績>
打率.284 0本塁打6打点
<今季8月成績(8月12日現在)>
打率.231 0本塁打 1打点
▼バルデス39歳(中日)
<昨季8月以降の成績>
8試合 1勝4敗 防御率3.35
<今季8月成績(8月12日現在)>
2試合 0勝1敗 防御率7.50
▼スタンリッジ38歳(ロッテ)
<昨季8月以降の成績>
9試合 2勝3敗 防御率3.72
<今季8月成績(8月12日現在)>
2試合 1勝1敗 防御率2.92
▼阿部慎之助38歳(巨人)
<昨季8月以降の成績>
打率.310 5本塁打 23打点
<今季8月成績(8月12日現在)>
打率.350 2本塁打 12打点
▼能見篤史38歳(阪神)
<昨季8月以降の成績>
7試合 2勝4敗 防御率3.74
<今季8月成績(8月12日現在)>
2試合 0勝0敗 防御率3.27
▼五十嵐亮太38歳(ソフトバンク)
<昨季8月以降の成績>
16試合 0勝0敗1ホールド 防御率4.15
<今季8月成績(8月12日現在)>
登板なし
全体的な傾向として挙がるのは、投手はさほどではないが、野手は総じて高打率を残す傾向がある。特に阿部慎之助は、今季通算2000本安打&400本塁打というふたつのマイルストーン達成がかかっているためか、今季の打率は.350とハイアベレージ。また、このなかに3人も選手がいるように主力を張るベテラン選手が多い中日は8月に入ってから5勝3敗2分と勝ち越し、徐々に調子を上げてきている点も見逃せない。
暑くなってくると途端に活躍しはじめるベテラン選手たち。シーズン終盤にかけて、注目してみもいいかもしれない。
文=福嶌弘(ふくしま・ひろし)