ナゴド移転以降球団初の30号最速到達
8月13日のヤクルト戦、ゲレーロ(中日)が豪快な3ランで試合を決めた。1-1の同点で迎えた3回、相手先発・由規の甘いスライダーを逃さず左中間スタンドへ放り込んだ。しかも、球団では1996年の山﨑武司以来21年ぶりとなる12球団最速での30号本塁打到達といううれしいおまけ付きだ。
この最速記録は、中日の選手が達成したという点で大きな価値がある。ナゴヤドームは本塁打が出にくい球場として知られる。1997年に、中日が同球場を本拠地として以降では初めての記録でもあるのだ。
広くフェンスが高い球場が本拠地であるがゆえ、中日の場合、30本塁打を超える選手が出ること自体が少ない。中日の選手の30号到達は、2010年の和田一浩(37本)、ブランコ(32本)にまでさかのぼる。そもそも、1997年以降で30本塁打に到達したのは、和田、ブランコのほか、ウッズ、福留孝介、レオ・ゴメスの5人のみであった。彼ら、球団史に名を刻む長距離砲の仲間入りをゲレーロは来日1年目にして果たしたということだ。
ちなみに、2006年にウッズが記録した47本塁打が1997年以降のチーム最多本塁打であり、40本塁打を超えた唯一の記録でもある。現在、ゲレーロはシーズン40本塁打ペース。ウッズ以来の大台超えという可能性もある。
“ソロ本塁打呪縛”も解けて打点量産中
ゲレーロは6号から22号まで17本連続ソロ本塁打が続いたことで、一時は本塁打数の割に打点が物足りないとも指摘されていた。しかし、23号で2ランを放ってソロ本塁打の“呪縛”も解けた。現在は打点ランキング5位の68打点にまで数字を伸ばしてきており、主砲として申し分ない働きを見せている。
ゲレーロはもともと長打力が評価されて中日入りした選手ではある。米ドジャース時代の2015年には代打中心ながら開幕から2カ月間で9本塁打をマーク。しかし、昨季はスプリングトレーニング中に膝を痛めて開幕から故障者リスト入りし、6月8日に解雇されてしまった。いかに潜在能力は高くとも、故障明けの新外国人が来日1年目からここまでの活躍をすると予想した人もそう多くないのではないか。
11月には31歳になるゲレーロ。決して若いとはいえないが、逆にいえば脂が乗っている年齢でもある。チームに定着して長く活躍してくれれば、低迷が続く中日にとって文字通り力強い助っ人となる。
※数字は2017年8月13日終了時点
文=清家茂樹(せいけ・しげき)