V字回復で逆転Aクラスもみえた…?
クライマックスシリーズ圏内の3位以内がいよいよ見えてきた。
18日から東京ドームで行われた巨人-DeNAの3連戦は、追いかける巨人が3連勝。Aクラスを争う“ライバル”を直接叩き、一気に2ゲーム差まで接近した。
一時は「11」まで膨らんだ借金も気がつけば「1」。5月27日以来の勝率5割復帰は目前である。
今季の巨人といえば、5月から6月にかけて球団史上ワーストとなる13連敗を喫するなど、一時はどん底の状態。浮上の兆しも全く見えず、2006年以来となるBクラスも濃厚という雰囲気が漂っていた。
そんな苦しいチームを支えてきたのが、すでに2ケタ勝利をマークしている菅野智之、マイコラス、田口麗斗の先発3本柱。特に菅野は防御率と勝利数部門で堂々のセ・リーグ1位につけるなど、MVP級の活躍を見せている。
その一方、野手で巨人を牽引してきたのが加入1年目の助っ人・マギーだ。DeNAとの直接対決2戦目(19日)には満塁本塁打を放ち、翌日の第3戦でも2安打・2得点をマーク。打率はリーグ3位の.316で、打点はチームトップの62をマーク。さらに得点圏打率もリーグ3位の.344と勝負強い打撃が光っている。
“不要論”から救世主に
巨人の「投」のMVPが菅野なら、「打」のMVPはマギーと言っていいだろう。
一塁に阿部慎之助、三塁には村田修一がいたため、マギーを獲得した際には“不要論”も少なからず聞かれた。しかし、マギーは自らのバットでそんな論調をかき消す。
ここまで14本塁打とパワー面では若干物足りなさもあるが、ここまで放った二塁打の数はリーグトップの37本に上る。今のペースでいけば、シーズン48本に到達する計算。これは2006年に福留孝介(当時中日)が打ち立てたセ・リーグ記録の47二塁打を1本上回る。
ちなみに、プロ野球記録は2001年に谷佳知氏(当時オリックス)が樹立した52二塁打。33試合を残し、日本記録更新のチャンスも十分あるだろう。
そんなマギーであるが、7月中旬からは「2番・二塁」として起用されている。守備では不慣れな面もあるが、村田が三塁手として先発出場できることで、巨人打線に“厚み”と“つながり”が生まれた。
「守備軽視」と批判を受けたこともあったが、マギーが2番に座った7月12日以降のチーム成績は17勝11敗1分。それ以前の37勝44敗から一転、勝ち越しをつくっている。後で振り返った時、「マギーの2番起用が2017年・巨人の分岐点だった」となるかもしれない。
いよいよ8月も終わりが近づき、シーズンも佳境。果たして、“救世主”マギーはチームを11年連続のAクラスに導けるだろうか。
文=八木遊(やぎ・ゆう)