コラム

“助っ人”の概念が変わる…?外国人選手も『育成』する時代へ

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広島・バティスタ(C)KYODO NEWS IMAGES

「代わりが出てくる」強み


 プロ野球の2017年シーズンもあっという間に残りわずか。パ・リーグではソフトバンクが昨年の雪辱を晴らす圧勝で2年ぶりの優勝を果たし、セ・リーグは広島が球団37年ぶりとなるリーグ連覇を成し遂げた。

 両チームとも2位以下に10ゲーム以上の差をつけるまさに独走。投打ともにレベルの高さを見せ、他球団を圧倒した。中心選手がきっちりとその役割を果たしながら、ケガや不振の選手が出てくると代わりの選手が確実に出てくるというのが何よりの強みで、選手層の厚さと適材適所の起用が躍進を支えた。

 『代わりの選手が出てくる』というところで注目したいのが、両チームとも育成契約の外国人選手をシーズン途中に支配下登録し、戦力として活用していったという点だ。今回は優勝チームを支えた育成上がりの外国人選手2人にスポットを当てたい。


鮮烈デビュー&優勝決定打!


 広島を救ったのが、25歳の外野手サビエル・バティスタである。

 カープアカデミー出身の右の大砲で、昨季の開幕前に広島と育成契約。2年目となる今季はファームで三冠を争うような躍動が認められ、6月2日の支配下登録を掴んだ。

 支配下即6年契約という大型契約が話題となったが、翌日の試合でデビューを果たすと代打で初打席初本塁打をマーク。値千金の逆転2ランでファンの心を掴むと、なんとその翌日の試合でも代打本塁打。プロ野球史上でも2人目となるプロ初打席からの2打席連続代打本塁打で鮮烈なインパクトを残す。

 その後は8月までに9本の本塁打を積み上げるも、まだまだ荒削りな部分も目立ち、打率が2割1分台まで落ち込んだ8月中旬に一度登録抹消。それでも、鈴木誠也の負傷もあって9月に再度一軍昇格を果たすと、復帰後は12試合で打率.324、2本塁打、9打点と好調をキープ。9月18日の阪神戦では優勝を手繰り寄せる決勝打を放つなど、ポストシーズンに向けて猛アピールを続けている。

 外野はセンターの丸佳浩は不動となっているが、鈴木誠也の離脱もあって両翼は大混戦。主砲の代役としてチームを支える松山竜平が一歩リードしている感はあるものの、エルドレッドや岩本貴裕、野間峻祥らとの激しい争いがつづく。

 シーズンも残りわずかとなったが、目前に迫ったポストシーズンに向けてバティスタのラストスパートに注目だ。

▼ サビエル・バティスタ
58試 率.248(113-28) 本11 点25


ブルペン陣を支えたキューバの新星


 NPB屈指の巨大戦力を誇るソフトバンクで台頭したのが、21歳左腕のリバン・モイネロである。

 今季はFAで森福允彦が抜け、中継ぎ左腕の薄さが不安視されたリリーフ陣。若手の嘉弥真新也がチャンスを掴み、飯田優也が一軍・二軍を行き来しながらも支えるという形でやりくりしていたところ、一軍に定着したのがキューバ出身の若き左腕だった。

 5月にチームに加わると、6月16日には支配下登録。当初の想定を大幅に上回る速度で戦力の一員に加わると、6月27日にNPBデビュー。そこから34試合・35回2/3を投げて防御率2.52と安定したはたらきでブルペン陣に欠かせない存在となった。

 優勝を決めた直後の9月18日の西武戦でイニング途中に緊急降板となり、『左前腕屈筋群の張り』で登録抹消となったものの、ポストシーズンには間に合う見込みとのこと。万全な状態での復帰、そしてより一層のフル回転に期待がかかる。

▼ リバン・モイネロ
34試(35回2/3) 4勝3敗1セーブ・15ホールド 防2.52


外国人選手も育成する時代へ…?


 かつてプロ野球の“助っ人”というと、メジャーリーガーやマイナーでくすぶっている選手を大金で獲得してくるというパターンが多かった。それが近年は外国人枠を上回る数の外国人選手を安価で揃え、じっくり二軍で見極めながら、日本球界に慣れさせながら調子が良い選手をローテーションで使っていくような流れが目立つ。

 ビッグネームよりも、コストパフォーマンスを重視した運用へ…。そんな流れが強まる中で、今季のリーグ王者が見せた『外国人選手の育成』という新たな成功例は、今後の各球団の方向性を左右しかねない大きな出来事だったと言えるだろう。

 近い将来、外国人選手も『育成』する時代が当たり前に…?各球団の外国人編成の動向に注目だ。


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