高卒新人史上初!2戦連発のド派手デビュー
DeNAのドラフト5位ルーキー・細川成也が衝撃の一軍デビューを果たした。
10月3日と4日のシーズン最終2試合に先発すると、なんと2試合連続で本塁打をマーク。2リーグ制となった1950年以降、高卒新人による“デビュー2戦連発”は史上初という快挙だ。しかも、それがいずれも決勝打だったことで、その存在を強烈に印象づけた。
本塁打の内容もファンのド肝を抜くもの。プロ初打席初本塁打となった3日の一発は、“プロ初スイング”でのバックスクリーン直撃弾。4日の第2号は「来ないと思っていた」という直球に反応して逆方向の右翼スタンドに運んでみせた。
チームを率いるアレックス・ラミレス監督も「あれだけパワーのある日本人は見たことがない」「将来は40本を打つスーパースターになる」と絶賛し、期待を寄せていた逸材。その図抜けたパワーについては、細川の出身校・明秀学園日立高の金沢成奉監督も太鼓判を押している。
かつて青森の強豪・光星学院高(現八戸学院光星高)を率いていた同監督。教え子には坂本勇人(巨人)や北條史也(阪神)、田村龍弘(ロッテ)といった名だたる選手たちがいるが、彼らと比べても「飛距離とパワーでは細川が数段上」と語っていた。
なにより、初打席から物怖じせずフルスイングできたことが評価に値する。その点については山崎武司氏(元中日ほか)も昨年のドラフト前から注目。「これだけ振れると魅力がある、プロはなんといっても振れるヤツが欲しい」「僕が指名するなら細川くん」と、セ・パ両リーグで本塁打王に輝いた長距離砲が細川の思い切りのいいスイングを高く評価していた。
秘密兵器としてCSでの活躍にも期待
もちろん、高卒1年目ということで粗削りな部分もある。変化球への対応に課題があり、二軍でも打率は.201。喫した182三振はファーム両リーグ最多だ。一軍出場を果たした2試合での凡退も全て三振であった。
しかし、ずば抜けた身体能力が周囲の期待を膨らませる。中学時代には強肩を買われ、わずか3カ月の練習でジュニアオリンピックに出場。ジャベリックスローという小中学生向けのやり投げ競技でいきなり中学生記録を達成して2位になり、JOCからやり投げの強化指定選手に誘われたという逸話も残っている。
おまけに50m走は6.2秒という俊足も誇り、DeNA入団後の筋力測定ではベンチプレスで130kg、スクワットで230kgを持ち上げるなど、直近30年間の高卒新人として最高の数値をたたき出した。パワーとスピードを兼ね備え、走攻守そろった柳田悠岐(ソフトバンク)のような選手を目指せる“素材型”としてこれほど魅力的な新人もそうはいないだろう。
高校時代は最速146キロを誇る投手でもあった細川だが、現在のポジションは外野手。DeNAの外野陣には主砲の筒香嘉智をはじめ、梶谷隆幸や桑原将志と確固たるレギュラーがそろう。その一角を突き崩すことはそう簡単ではないだろう。しかし、間もなくはじまるCSにおける“秘密兵器”としては面白い存在になりそうだ。
若返りを推し進めながらも2年連続でCS出場、そして16年ぶりのシーズン勝ち越しと、上げ潮に乗っているDeNA。シーズンの最後の最後にまた楽しみな新星が現れた。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)