ヤクルトがメジャー25勝左腕獲得へ
12月も折り返し地点を過ぎ、2017年もいよいよあと半月を切った。各球団が来季に向けた動きとして続々と新外国人選手獲得の発表をしているなか、ヤクルトが韓国・LGでプレーしているハフを獲得することが噂されている。
アメリカ出身で、メジャー25勝の実績を持つ33歳の左腕。今季は19試合に登板して6勝4敗、防御率2.38という成績を残した。最優秀防御率すら3点台になるような“打高投低”の韓国球界での数字であることを考えると、ヤクルトファンの期待も高まっているはずだ。
さらに、今季まで中日に所属していた左腕のジョーダンがアルメンゴと登録名を変えて加入することも決定。日本では2年間で40試合に登板して防御率3.50、12勝をマークしており、実力は実証済みである。
今季先発ローテーションを担ったヤクルトの左腕は石川雅規ただひとり。2年連続Bクラスに沈んだチームにとって大きな補強になりそうだ。
ただ、もともと少数派のために“左腕不足”に悩まされているのはヤクルトに限った話ではない。そこで、現在の“左腕王国”を探るべく、今季の球団別左投手成績を振り返ってみたい。以下は、各球団の左投手が残したいわゆる「貯金」での順位だ。
【2017年・球団別左投手成績】
1位:西 武 貯金15(27勝12敗) 350.0回 防御率2.98
2位:ソフトバンク 貯金7(11勝4敗) 160.1回 防御率2.92
3位:阪 神 貯金6(25勝19敗) 417.1回 防御率3.60
4位:DeNA 貯金 3(30勝27敗) 514.2回 防御率3.50
5位:楽 天 貯金1(17勝16敗) 289.0回 防御率3.30
6位:広 島 貯金1(7勝6敗) 130.1回 防御率5.18
7位:日本ハム 借金3(14勝17敗) 246.0回 防御率3.88
8位:巨 人 借金3(19勝22敗) 383.0回 防御率4.02
9位:ロッテ 借金6(4勝10敗) 147.2回 防御率5.18
10位:中 日 借金10(30勝40敗)615.2回 防御率3.96
11位:ヤクルト 借金14(4勝18敗)198.0回 防御率5.18
12位:オリックス 借金16(8勝24敗)251.0回 防御率4.63
左投手成績はシーズン成績のバロメーター
件のヤクルトは借金14で11位。しかも、防御率5.182は5.179の広島、5.181のロッテにわずかに及ばず12球団ワースト。ますますハフとアルメンゴの働きに期待したくなる。
貯金のトップは西武の15。唯一、2桁の貯金を積み上げた。言わずもがな、16勝を挙げたエース・菊池雄星の活躍によるもの。先発ローテを1年間守った左腕は菊池だけだが、1人で10個の貯金を作り出した。2位のソフトバンクは、防御率では西武をわずかにかわしてトップ。先発の和田毅のほか、モイネロ、嘉弥真新也といった中継ぎ左腕の安定感が光った。
投球回に注目すると、中日の615回2/3が断トツ。チームの総投球回1281の半分近くを占める。一軍登板を果たした左投手の人数でも中日の11人がトップであり、頭数という意味では中日が左腕王国と言えそうだ。しかし、2桁の借金を抱えた上、バルデス、ジョーダンの両外国人は退団。王国の座を守るのは厳しくなりそうだ。
一方、投球回が最も少なかったのは130回1/3の広島。そもそも左投手が少ない上、ジョンソンが13試合の登板にとどまったことが大きい。驚異的なのは打線の援護だろう。5点台の防御率ながら、貯金ができているのはさすがというべきか。
注目したいのは、上位6球団はすべてペナントレースでもAクラスだったということ。当然といえば当然なのかもしれないが、Aクラス入りするチームは多数派の右投手に偏ることなく左投手でもきっちり貯金ができている。左投手の成績もチーム力を測るバロメーターのひとつとして要注目だ。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)