コラム 2017.12.25. 18:30

3番小笠原道大・4番ラミレス「原巨人を救った“オガラミ”コンビ」を振り返る【平成死亡遊戯】

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カメラに向かって笑顔を見せる巨人時代のラミレス(左)と小笠原=西武ドーム

球界事情の移ろい


 戦力補強で重要なのは資金と人脈と、何よりタイミングだ。

 どんなに球団側が「こういう選手が欲しい」と願っても、対象選手が移籍市場に出ていなければどうすることもできない。近年のスケールダウン気味の国内FA市場を見ていても、チームを根本的に変えられるような特Aクラス選手はメジャーリーグを目指す時代だなと実感させられる。

 約10年前、日本一の北海道日本ハムで本塁打王と打点王に輝いた全盛期バリバリのMVPスラッガー小笠原道大が、巨人へFA移籍した頃とは球界事情も大きく変わったのだ。


原巨人の礎


 当時の巨人は、原辰徳監督が復帰するも2年連続Bクラス、4年連続V逸。チーム打率.251は12球団最低と屈辱的な結果で2006年シーズンを終えると、オフにFAで小笠原道大(日本ハム)、トレードで谷佳知(オリックス)を補強する。

 翌年、小笠原はセ・パ両リーグの受賞となる2年連続MVPの活躍で5年ぶりのリーグ優勝に貢献する。その年のストーブリーグにはアレックス・ラミレス(ヤクルト)、セス・グライシンガー(ヤクルト)、マーク・クルーン(横浜)と同一リーグ球団の優良助っ人陣を立て続けに獲得して物議を醸した。

 そんななりふり構わないエグい戦力補強と同時に原監督は坂本勇人、亀井善行、松本哲也、山口鉄也らの実績のない若手陣を次々と抜擢して、主力へと定着させV3を達成したわけだ。この補強と育成の両立を可能にしていたのは、やはり「3番小笠原道大、4番ラミレス」というチームの強固たる土台があったからだと思う。

 巨人の“オガラミコンビ”が機能したのは2008年から10年の実質3シーズンだ。

【2008年】
小笠原  144試 率.310 36本 96点 OPS.954
ラミレス 144試 率.319 45本 125点 OPS.990
チーム成績 144試 84勝57敗 3分(1位)

【2009年】
小笠原  139試 率.309 31本 107点 OPS.927
ラミレス 144試 率.322 31本 103点 OPS.891
チーム成績 144試 89勝46敗 9分(1位、日本一)

【2010年】
小笠原  137試 率.308 34本 90点 OPS.953
ラミレス 144試 率.304 49本 129点 OPS.951
チーム成績 144試 79勝64敗 1分(3位)

 あらためて振り返ると凄まじい数字である。ラミレスは08年打点王、09年首位打者、10年は本塁打王と打点王と毎年何らかの主要打撃タイトルを獲得。小笠原は巨人移籍後4年連続で打率3割、30本塁打をクリアと抜群の安定感を発揮した。

 今思えば、これだけの成績を残した球史に残るスラッガーが2年連続で国内移籍市場に出たのも奇跡的だ。日本ハムの北海道移転後初の日本一を達成して関東の家族の下に戻ったガッツ小笠原。複数年契約を希望した優良助っ人に対して、ヤクルトが提示したのは単年契約。ここで以前から球場で声を掛けあい、その采配に興味を持っていた原監督の元でプレーすることを選択したラミレス。まさに補強は就活や合コンと同じで両者のタイミングが命である。


オガラミのON超え


 だが最高の時間もいつか終わる。2011年、故障や統一球の導入もあり、わずか5本塁打と一気に打撃成績を落とした小笠原は2軍落ちも経験し規定打席到達ならず。ラミレスは不安定なレフト守備から首脳陣の信頼を失い、オフにDeNAへ移籍していくことになる。そうして、巨人は翌12年から名実ともに「阿部慎之助のチーム」へとシフトチェンジして再びV3を達成するわけだが、それはまた別の機会に書こうと思う。

 気が付けばあれから長い時間が経ち、いまやラミレスはDeNA監督、小笠原も中日2軍監督を務めている。なおオガラミコンビは結成1年目の2008年シーズン、あの王貞治・長嶋茂雄の“ON砲”が達成した球団記録のシーズン14度を40年ぶりに超える15度のアベックアーチを記録。一時は阪神に最大13ゲーム差つけられながら、メークミラクルと呼ばれた逆転優勝の立役者は彼ら最強コンビだった。

 なおこの年、オガラミ両者にアーチが飛び出した試合は「15戦全勝」である。


文=中溝康隆(なかみぞ・やすたか)

(参考資料)
『ラミ流』(アレックス・ラミレス著/中央公論新社)
スポーツニッポン 2010年9月1日付

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