シーズン途中にドジャースへ
2015年の開幕直前にトミー・ジョン手術を受けたダルビッシュ有。16年途中に復帰し、今季が復帰後初のフルシーズンとなった。今季途中には、テキサス・レンジャーズからロサンゼルス・ドジャースにトレードされ、2チームで合計31試合に登板し、10勝12敗、防御率3.86の成績を残した。
故障前の2014年以来、3年ぶりとなる2ケタ勝利を挙げたが自身初の負け越し、念願のワールドシリーズでは、2試合連続で序盤にKOされるなど、不満の残る終わり方となった。
12敗を喫した要因の一つが、援護点(ランサポート=RS)の少なさだ。ダルビッシュの今季RSは9イニング当たり4.24で、規定投球回に達した58投手中51位と打線の援護に恵まれなかった。しかし、レンジャーズでの3.42に比べ、ドジャースでは6.52と、移籍後のRSは2倍近くに増えた。もし開幕からドジャースでプレーしていれば、15勝以上挙げていてもおかしくなかった。
今季のメジャーでは、本塁打とともに三振の数が激増。ダルビッシュも例に漏れず、奪三振率はメジャー12位の10.1という高い数字を残した。しかし、これは12年のメジャー移籍後で自己ワースト。メジャー全体の三振数が増加傾向にありながら、ダルビッシュの奪三振率が若干ながらも減ったのは気になるところだ。
ダルビッシュは今季、走者を背負った場面で粘り強さを発揮した。被打率は、走者ありの場面で.237。得点圏時は、.217と、ピンチの場面でも落ち着いたマウンドさばきを見せた。
しかし、同時にここ数年のダルビッシュの課題となっているのが盗塁を阻止する力だ。もちろん捕手の肩によるところも大きいが、メジャー2年目の13年までは、52回の盗塁企図に対し、阻止したのが11回を数え、盗塁阻止率は21.2%とまずまずだった。ところが3年目の2014年以降は45回の盗塁企図に対し、阻止したのは僅かに2回。盗塁阻止率に換算すると4.4%。走者を気にしすぎるのも良くないが、来季は盗塁阻止率を改善したいところだ。
ダルビッシュはこのオフ、フリーエージェントとなり、古巣レンジャーズやドジャースをはじめカブス、アストロズといった強豪も争奪戦に名乗りを挙げている。果たして、来年はいったいどのチームのユニホームに袖を通すのだろうか。その動向に注目が集まる。
▼ ダルビッシュ有
生年月日:1986年8月16日(31歳)
身長/体重:195センチ/99キロ
投打:右投右打
ポジション:投手
経歴:東北高-日本ハム(04年D1)-レンジャーズ-ドジャース
[今季成績] 31試 10勝12敗 奪三振209 防御率3.86
[通算成績] 131試 56勝42敗 奪三振1021 防御率3.42
文=八木遊(やぎ・ゆう)