アメリカでの3年目がスタート
ドジャースの前田健太投手がメジャー3年目のトレーニングキャンプに励んでいる。
アリゾナ州グランデールにあるドジャースのキャンプ施設。前田はクラブハウスから出て来ると、チームメイトと笑顔でカートに乗って練習場へ。軽快にウォームアップとキャッチボールをこなし、リズム良く投球練習を行う。練習後はクラブハウスで誰かの子供を相手に、楽しそうに卓球をして遊んでいた。
明るい表情でハツラツとしたその姿に過去2年連続で二桁勝利(2年で計29勝17敗)という成績を残した自信と3年目の余裕が感じられた。
「このチームにもすごく慣れてきましたし、メンバー、スタッフというのがあまり変わっていないので自分のペースですごく出来ています」と前田。「あとは去年の課題、先発で課題がたくさん見つかったので、それをしっかり修正して、良い結果が出るようにキャンプを過ごしていきたい」と意気込んだ。
変化球のマイナーチェンジ
課題はいろいろあると語り、その一つが「投げているボールの精度」だと言う。「(昨季は)納得いかない変化球もたくさんありましたし、そういうもののレベルを一つひとつ上げていけたらいい」、「すべてのボールのレベルアップというのが一番大事」と、さらなる成長を見据えた。
また、「新しい球種というのは特にないですけど、自分の持っている変化球をうまく変化させていくというか、変化させれば新しいボールになるので、変えるボールと変えないボールはもちろんありますけど、なんとかいいものにできたら」と、持ち球にマイナーチェンジを加えていく考えも示した。
その中で重点を置いているのが、チェンジアップだ。今季は握りを変えて、特に左打者に対するさらなる武器となることを目指しており、キャンプで初めてブルペン投球した時点で「ある程度変えた握りは固まっている」と手応えを口にした。ブルペンで投げる分にはいい感覚で投げられているそうで、あとは打者を立たせた時にどうなるかを見ていくという。
「バッターが立って、試合で打たれたくないとか打たれちゃいけないと思うと変化が変わってくるので、そこをどう試合の中でやっていくか」と今後のプロセスについて語った前田。現地時間27日(日本時間28日)に予定されているオープン戦、今季初登板のレンジャーズ戦から本格的な探求がはじまる。
高まる“世界一”への思い
昨季は登板の間隔が大きく空いたり、中継ぎをこなしたりしながら13勝6敗1セーブ。開幕直後と終盤の不調が響いて防御率は4.22だったが、不安定な使われ方をした時期があった中、これだけの数字を残せたのは評価に値するだろう。
さらにポストシーズンでは、“頼れる中継ぎ”という、これまで経験したことのない立場でドジャースのワールドシリーズ進出に貢献。アストロズと戦ったワールドシーズは第7戦までもつれ込む劇的な争いとなり、世界一まであと一歩のところで涙を呑んだが、その悔しさがモチベーションに繋がっていることは間違いない。
「ワールドチャンピオンになりたいという気持ちがより一層強くなりました」と前田。「チャンピオンリングを手にできるように頑張りたい」と頂点への思いは一層高まっている。
文=山脇明子(やまわき・あきこ)