昨季ファームで二冠
プロ5年目を迎えた楽天の内田靖人が大きく成長した姿を見せている。
2月27日に行われたオリックスとの練習試合に途中出場すると、6回の第1打席で吉田一将から左越えの3ラン。真ん中高めに浮いた打ちごろのボールだったとはいえ、思い切りのいいスイングでとらえた完璧な当たり。いかにも若き大砲らしい豪快な一発であった。
オープン戦でもここまで4試合に出場して16打数8安打の打率5割。本塁打も1本放ち、打点も6と絶好調。出塁率と長打率を足したOPSは1.243という驚異的な数字だ。
昨季、イースタン・リーグで森山恵佑(日本ハム)と並んでトップタイの18本塁打をマークした内田。プロ入り時には「シーズン20本塁打をコンスタントに打てる選手になりたい」と語っている。変化球への対応に課題はあるが、将来の4番候補としてファンには楽しみな存在だろう。
各球団の“生え抜き2ケタ本塁打者”は…
楽天というと、昨季は茂木栄五郎がチームの“生え抜き”選手として球団創設以来初の2ケタ本塁打を記録したことで話題となった。最終的には茂木に加えて島内宏明も2桁本塁打を放ち、チームにとって記念すべきシーズンとなっている。
では、他球団はどうだったのか。昨季2ケタ本塁打をマークした各球団の生え抜き選手を振り返ってみる。
【2017年・各球団の生え抜き2ケタ本塁打到達者】
<パ・リーグ>
ソ:柳田悠岐(31本)、松田宣浩(24本)、今宮健太(14本)、上林誠知(13本)
西:中村剛也(27本)、秋山翔吾(25本)、山川穂高(23本)、浅村栄斗(19本)、外崎修汰(10本)
楽:茂木栄五郎(17本)、島内宏明(14本)
オ:T-岡田(31本)、吉田正尚(12本)
日:中田翔(16本)
ロ:鈴木大地(11本)
<セ・リーグ>
広:鈴木誠也(26本)、丸佳浩(23本)、菊池涼介(14本)、松山竜平(14本)
神:中谷将大(20本)
De:筒香嘉智(28本)、梶谷隆幸(21本)、宮﨑敏郎(15本)、桑原将志(13本)
巨:長野久義(16本)、坂本勇人(15本)、阿部慎之助(15本)
中:福田永将(18本)
ヤ:山田哲人(24本)
当然、本拠地球場の広さという部分も大きく影響するものの、やはり上位球団には達成者が多い傾向があるようだ。逆に、本塁打が比較的出やすい本拠地球場でありながら20本到達者がいなかった巨人や、山田哲人ひとりだけに終わったヤクルトはちょっと寂しいところ。
最も人数が多かったのは、打線が12球団随一の破壊力を誇る西武。本塁打王の常連・中村剛也のほか、2016年の11本から25本に本塁打を激増させた秋山翔吾、昨季後半戦にブレイクした山川穂高ら5人が名を連ねた。
楽天の場合、茂木も島内も本来は長距離砲というタイプではない。将来、内田がこのリストに名を連ねることができるか。まだ少し時間がかかるかもしれないが、ファン待望の国産大砲の台頭に期待しよう。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)