近年の“古巣復帰組”の1年目は?
現地時間3月7日(日本時間8日)、マリナーズ復帰が決まったイチローの記者会見が行われた。実に16年ぶりとなる古巣復帰。「2001年にメジャーでプレーできることが決まった喜びとは全く違う感情が生まれた。とてもハッピー」と喜びを語った。
イチローに限らず、このオフは“復帰”の話題が大きな注目を集めたように思う。たとえば、メジャーで数多くの球団を渡り歩きながらも渋い活躍を見せていた青木宣親が、古巣・ヤクルトへ復帰。ほかにも、実松一成と鶴岡慎也というふたりの捕手がそろって日本ハムに戻れば、かつては日本球界最高の“5ツールプレーヤー”とも称された松井稼頭央が楽天から西武に復帰。入れ替わるように渡辺直人が西武から楽天への復帰を果たした。
そして極めつけが、9日に発表された上原浩治の巨人電撃復帰。このオフの日本球界は、とにかく“古巣復帰劇”が目立つ。
やはり“古巣への復帰”というのは、移籍のパターンの中でも盛り上がりを見せるもの。このオフほどではないにしろ、過去にも話題を集める復帰劇が多くあった。
果たして彼らは愛着ある古巣でどんな活躍をしたのか…。今回は“復帰1年目”の成績を振り返ってみる。
【近年の主な古巣復帰】
▼ 山崎武司(2011年12月8日:楽天→中日)
2012年成績:90試 率.209 本1 点13 盗1
▼ 鶴岡一成(2011年12月11日:巨人→DeNA)
2012年成績:102試 率.189 本1 点15 盗0
▼ サブロー(2011年12月23日:巨人→ロッテ)
2012年成績:137試 率.239 本7 点52 盗0
▼ 真田裕貴(2012年3月19日:横浜→巨人)
2012年成績:1試(0回) 0勝0敗 奪三0 防―
▼ 平野恵一(2012年12月25日:阪神→オリックス)
2013年成績:56試 率.313 本0 点14 盗1
▼ 新井貴浩(2014年11月14日:阪神→広島)
2015年成績:124試 率.275 本7 点57 盗3
▼ 黒田博樹(2014年12月27日:ヤンキース→広島)
2015年成績:26試(169.2回) 11勝8敗 奪三106 防2.55
▼ 和田 毅(2015年11月7日:カブス→ソフトバンク)
2016年成績:24試(163.0回) 15勝5敗 奪三157 防3.04
▼ 藤川球児(2015年11月14日:四国IL・高知→阪神)
2016年成績:43試(62.2回) 5勝6敗3S・10H 奪三70 防4.60
▼ 脇谷亮太(2015年12月2日:西武→巨人)
2016年成績:54試 率.157 本1 点7 盗0
▼ 川崎宗則(2017年3月31日:カブス→ソフトバンク)
2017年成績:42試 率.241 本0 点4 盗0
ふたりの大ベテランが支えた2016年の広島V
他球団への移籍を経て古巣に復帰するということは、必然的にベテランの域に達していることがほとんどだ。そうすると、復帰後は目立った成績を残せない選手も少なくない。だが、ベテランとなってなおチームに大きく貢献した選手もいる。
2016年の広島のリーグVを支えた新井貴浩と黒田博樹は、その代表格だろう。復帰1年目の2015年、当初は代打で起用されていた新井だが、グスマンの故障により4番に定着。9月2日の阪神戦ではホームスチールを成功させるなど、ベテランらしからぬ闘志あふれるプレーでチームを牽引した。
メジャーの高額オファーを蹴って広島に戻ってきた黒田は、40歳で迎えたシーズンでリーグ7位の防御率2.55を記録し、2ケタ・11勝をマーク。この年は4位に終わった広島だが、翌2016年に悲願のリーグ制覇を達成。若手中心のチームにおいて、ふたりのベテランが優勝への原動力となったことは間違いない。
4年間のメジャー挑戦を経てソフトバンクに復帰した和田毅もいきなりの活躍を見せた。復帰1年目の2016年は15勝をマークし、2010年以来となる最多勝のタイトルを獲得。昨季は左ヒジの手術によって長期離脱するも、4勝0敗と負けなし。復帰後2年間の勝敗は19勝5敗。勝率は.792という驚異的な数字を残している。
今年は春季キャンプ中に左肩の違和感を訴え、現在は実戦復帰に向けて慎重な調整をしているが、その安定感を武器にまだまだ活躍できそうだ。
上原・青木をはじめ、古巣復帰を果たした選手たちがどんな成績を残すのか。人気や話題性という意味ではもちろんのこと、彼らのはたらきがチームの命運を握っていると言っても過言ではない。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)