投手にも若返りの流れ?
いよいよ開幕まであと1週間となったプロ野球。各チーム先発ローテーションを任される投手も固まりつつあるが、なかでも若き力の台頭が目立つ。
たとえば中日では、高卒3年目・ハタチの小笠原慎之介が3試合の登板で2勝負けなし、防御率1.06という好成績。開幕ローテどころか開幕投手の大役も現実味を帯びてきた。
ほかにも、楽天の高卒2年目・藤平尚真や、DeNAの大卒3年目・熊原健人、巨人の大卒3年目・中川皓太などなど、各地でフレッシュな選手たちが躍動。開幕ローテ入りへ猛アピールを見せている。
日本一チームに共通する“ある法則”
そこで今回は、各チームの「先発陣の若返り」を検証してみる。
ここでは10年前(2008年)、5年前(2013年)、そして昨季(2017年)の各チームの先発登板数上位6人に注目し、その年齢(※開幕時)を合計。主要な先発投手たちの平均年齢を割り出してみた。
まずはパ・リーグ6球団から見てみたい。
▼ ソフトバンク
2008年=26.8歳
2013年=29.8歳
2017年=28.0歳
▼ 西武
2008年=29.7歳
2013年=26.5歳
2017年=29.8歳
▼ 楽天
2008年=24.8歳
2013年=26.8歳
2017年=27.1歳
▼ オリックス
2008年=28.2歳
2013年=26.7歳
2017年=28.0歳
▼ 日本ハム
2008年=29.8歳
2013年=29.2歳
2017年=27.5歳
▼ ロッテ
2008年=28.3歳
2013年=28.0歳
2017年=28.6歳
年を追うごとに平均年齢が上がっている楽天のケースもあるように、そこまで顕著に現れているわけではないが、一方で気になるのが主要な先発投手たちの中身だ。特に該当年に日本一に輝いた西武(2008年)、楽天(2013年)、ソフトバンク(2017年)にはある法則があった。
3球団が日本一に輝いた年の主要な先発投手陣の平均年齢を見ると、西武は29.8歳、楽天が26.8歳、ソフトバンクは28.0歳とバラバラだが、25歳以下の選手がふたり以上、ローテーションに組み込まれていた。
例えば2008年の西武なら、当時35歳の西口文也が先発で8勝を挙げた一方、21歳の涌井秀章、23歳の岸孝之が揃って2ケタ勝利をマーク。2013年の楽天は当時24歳の田中将大が絶対的エースに君臨しつつ、ルーキーの則本昴大、プロ入り5年目の辛島航の22歳コンビが先発ローテーションに食い込んだ。昨季のソフトバンクも、1993年生まれの武田翔太、千賀滉大がともに活躍したことは記憶に新しい。
このように25歳以下のイキのいい若手がふたりほど先発ローテーションに入ってくると、チームに新陳代謝が起こり、好成績を残す傾向があるようにも思えてくる。
広島&DeNAが強くなった理由
続いて、セ・リーグ6球団を見てみよう。
▼ 広島
2008年=27.8歳
2013年=26.2歳
2017年=25.2歳
▼ 阪神
2008年=30.5歳
2013年=28.2歳
2017年=28.8歳
▼ DeNA
2008年=26.2歳
2013年=30.1歳
2017年=24.8歳
▼ 巨人
2008年=30.7歳
2013年=28.0歳
2017年=28.5歳
▼ 中日
2008年=30.2歳
2013年=33.2歳
2017年=29.2歳
▼ ヤクルト
2008年=26.3歳
2013年=25.3歳
2017年=28.5歳
傾向があいまいな感があったパ・リーグとは異なり、明確にその兆候が出ているのが出ているのが広島だ。
初のCSに進出した2013年は、当時24歳の前田健太をはじめ、25歳以下の投手が4人も先発ローテーションに入り、リーグ1位通過を果たした2017年は25歳以下の投手の数は減ったものの、32歳のジョンソンの戦線離脱もあって先発登板数上位6人が全員20代に。6人合計で66勝を稼ぎ出し、チーム全体の8割以上を占めている。
そして、その広島をCSで下したDeNAの昨季の主要先発投手の平均年齢は、12球団で最も若い24.8歳。2016年を最後に三浦大輔が現役を引退したため、昨季の先発陣は大幅に若返り、最年長は開幕当時30歳の井納翔一、続いて高齢だったのは27歳のウィーランドというラインナップだった。若さ溢れる先発陣だったことがCSでの浜口遥大の中継ぎ起用などのフレキシブルな采配にもつながり、下剋上を果たす遠因になったとも言える。
現時点ですでにたのしみな若手が多く出てきている2018年のプロ野球。さらなる若返りは進むのか、先発陣の“平均年齢”に注目だ。
文=福嶌弘(ふくしま・ひろし)