3戦目で7番から1番に“昇格”
3月30日(金)に開幕したプロ野球の新シーズン。黄金期を築きつつあるソフトバンクが日本一連覇を達成するのか。セ・リーグ連覇中の広島が悲願の日本一を掴むのか。はたまた下馬評の高いこの2チームを抑えて勝ち上がるチームが現れるのか。2018年も見どころ満載の1年となりそうだ。
まだ開幕2カード目を迎えたばかりではあるが、早くも目立っているのがルーキーたちの活躍である。
今年は13名の新人が開幕一軍の切符を手中に収めており、そのうちロッテの藤岡裕大と菅野剛士、オリックスの山足達也にDeNAの神里和毅という4人は開幕戦でスタメン出場を果たした。なお、この4選手とも開幕2戦目までにプロ初安打をマークしており、まずは期待通りのスタートを切ったと言えるだろう。
この4人の中で、今回取り上げたいのがDeNAの神里だ。社会人・日本生命からDeNAに加入した24歳の外野手。開幕戦、2戦目と「7番・右翼」で先発したが、第3戦では不振の桑原将志に代わって「1番」に抜擢。するとその試合で3打数1安打、1盗塁に1得点の活躍。リードオフマンとして申し分ない働きぶりで、チームの連敗ストップに貢献した。
神里の移動により打順が2番に代わった桑原も、開幕戦以来の安打に加えて送りバントも決めるなど、つなぎ役としての仕事を全う。元気がなかった上位打線に“流れ”をもたらしている。
スモールベースボールを体現
昨年のDeNAを振り返ってみると、外野陣は「左翼・筒香嘉智-中堅・桑原将志-右翼・梶谷隆幸」はほぼ固定。控えは関根大気や乙坂智らの若手がしのぎを削るなか、終盤では新星・細川成也が登場。他球団も羨む盤石の体制と思われていた。
ところが、昨秋のドラフトでは2位で神里を指名。比較的層が厚いと見られていた外野陣に即戦力選手を加えるというのは意外な一手だった。
しかも、年明けに行われたトークショーで、アレックス・ラミレス監督が開幕スタメン構想について言及。「7番・右翼は競争。梶谷か細川になる。相手の右・左で変えるかもしれない」と語っており、その時点でルーキーの開幕スタメン入りを予想できた者はほとんどいなかっただろう。
そして迎えた春季キャンプ。開幕スタメン大本命の梶谷が右肩痛の影響で出遅れると、一方の細川も一軍スタートながら調子がなかなか上向かず、2月末に二軍落ち。入れ替わるように梶谷が一軍に昇格すると、オープン戦で適時打を放つなど開幕に向けて状態を上げていったが、最終盤で背中に異変を訴えて離脱。開幕には間に合わず、二軍スタートとなった。
そんな事情のなか、頭角を現したのが神里だった。オープン戦では12試合に出場。打率こそ.250だったが、チームトップタイの4盗塁を記録。筒香に次ぐ2番目の5四球を選ぶなど、指揮官が掲げる『スモールベースボール』を体現。開幕一軍入り、そしてスタメンの座も射止めたのだった。
ラミレス監督といえば、昨年は桑原がどれだけ調子を落としても1番を任せ続け、倉本寿彦も遊撃固定で戦い抜いたように、信頼を置く選手はほとんど動かすことがなかった。それが今年は3戦目にして打順の入れ替えに着手。例年以上に柔軟な姿勢が見られる。
そうなると、ルーキーながら神里にかかる期待はより大きくなる。どの打順に入り、どんな役割を求められるのか…。今後の指揮官の采配から目が離せない。