衝撃の“3戦連発”
「嘘だろ」…。その一打を目の当たりにした放送席の実況は、思わず言葉を失った。
現地時間6日(日本時間7日)、エンゼル・スタジアムで行われたエンゼルス-アスレチックスの一戦。「8番・指名打者」で先発出場したエンゼルスの大谷翔平は、第1打席で3試合連続となる本塁打をマーク。劣勢ムードを吹き飛ばす一振りに、場内が大きく沸いた。
序盤で0-6と大きくつまずいたエンゼルスだったが、大谷の一発を号砲に反撃を開始。乱打戦へと持ち込んだ末、相手のリリーフ陣を打ち崩して13-9で大逆転勝ち。これで大谷が本塁打を放った試合は3戦3勝と、“不敗神話”も誕生しそうな勢いである。
引っ張らずに驚異の飛距離
オープン戦の不振が嘘のような大活躍に、日本からやって来た“二刀流”への注目は日に日に増している。毎日のようにベーブ・ルースをはじめとする様々な過去の偉業が掘り下げられていくなか、今回は本塁打の“飛距離”にスポットが当たった。
メジャー3本目の本塁打となった一撃は、現地のテレビ中継では449フィート約136.9メートル)と伝えられていたが、MLB公式サイトの「スタットキャスト」によると、450フィート(137.2メートル)へと微修正されている。これまでの3本の中で、最も遠くまで飛んだ打球ということになった。
昨季に引き続き、開幕から多くの本塁打が生まれているMLB。現地6日までの時点でちょうど100試合が消化され、これまでに記録された本塁打数は計230本。その中で、今回の大谷の一発の飛距離は堂々の第7位にランクインしている。
【2018年MLB・本塁打飛距離ランキング】
1位 481Ft(約146.6m) アビサイル・ガルシア(ホワイトソックス)
2位 479Ft(約146.0m) マルセル・オズナ(カージナルス)
3位 460Ft(約140.2m) マット・アダムズ(ナショナルズ)
4位 459Ft(約139.9m) ヤンガービス・ソラーテ(ブルージェイズ)
5位 458Ft(約139.6m) ジャンカルロ・スタントン(ヤンキース)
6位 455Ft(約138.7m) ヤンガービス・ソラーテ(ブルージェイズ)
7位 450Ft(約137.2m) 大谷翔平(エンゼルス)
※飛距離は推定
※450フィート以上
※現地時間4月6日時点
こうして見ると、大谷の一発がメジャーを代表する怪力打者たちに匹敵する飛距離だったことがわかるだろう。
さらに驚くべきは、大谷を上回った6本塁打はいずれも“引っ張った”打球だった。右打者ならセンターよりも左方向。左打者ならセンターよりも右方向ということになる。7本の中で唯一、大谷の本塁打だけが逆方向だったのだ。
逆方向といっても、大谷が放った一発はほぼセンターからやや左よりという当たり。それでもケタ外れのパワーを持つメジャーの強打者たちが“引っ張って”ようやく出せるような飛距離を、大谷は引っ張らずして出してしまった。
懐疑的な見方も多かった“二刀流”で、次々と結果を出す大谷。果たして次は我々にどんなサプライズを見せてくれるのだろうか。
文=八木遊(やぎ・ゆう)