MLBを楽しもう
SCOOBIE DO(スクービードゥー)というロックバンドでドラムを担当しております、オカモト“MOBY(モビー)”タクヤです。今回はベースボールキングさんから「MLBに関する原稿を書いて欲しい」との依頼を頂きまして、連載をスタートさせて頂く事になりました。
…なぜバンドマンがMLBのことを?と思いますよね…。私MOBY、実はMLB観戦歴30年、特にシカゴ・カブスのファンでして、一昨年は実に71年振りのワールドシリーズ進出となったカブスの試合を現地シカゴのリグレーフィールドまで観戦に行ってしまったほどで…。
ここ数年はMLBに関する原稿を執筆したり、昨年はインターネット動画配信サイト「DAZN」でのMLB中継にて解説を担当させて頂いたり…。またコミュニティFMでMLBを中心に音楽と絡めるラジオ番組のMCを6年以上務めております。
大谷翔平選手が海を渡り、日本の野球ファンの皆さんがより一層MLBに関心を持たれていることを受け、せっかくならMLB自体をより楽しんでしまおう!というような連載が出来ればということで、今回からスタートさせて頂きます。
今回は、大谷選手が所属するチームとそのライバルたちが取り巻く、アメリカン・リーグ西地区について。
日本人にも馴染み深い!?
MLBは2リーグ×3地区に分かれていて、大谷選手が所属しているロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイムはアメリカン・リーグ西地区に所属しています。
昨年球団創設65年目にして初のワールド・チャンピオンに輝いたヒューストン・アストロズ。イチロー選手と岩隈久志投手が所属するシアトル・マリナーズ。昨年までダルビッシュ有投手が所属していたテキサス・レンジャース。かつては松井秀喜さんや藪恵壹さんなどが所属していたオークランド・アスレチックスの計5チーム。
現在はどの地区も5チームずつに振り分けられ、レギュラーシーズンの地区優勝を目指し162試合の長丁場を戦います。優勝出来なくとも、各リーグの2位以下での勝率上位2チームがワイルドカードとして10月のポストシーズンに進出できます。
戦前の予想は…
開幕直前のメディアや評論家の大方の予想は、昨年とメンバーが殆ど替わらない上に先発陣を補強したアストロズが最低でも地区優勝。そこに野手を適材適所に補強した上に大谷選手が加入したエンゼルスが続き、マリナーズが何とか上位2チームに食らいつき、チームを再建しつつあるレンジャーズとアスレチックスは低迷、といった感じでした。
開幕して25試合前後を消化し(現地4月24日現在)、やはりアストロズは安定した強さを誇っていますが、西地区の他のチームがとにかく頑張ってる!エンゼルスは球団初の地区優勝を飾った1979年以来となる開幕25試合16勝9敗という好スタートをきりました。
【ア・リーグ西地区】※現地4/26現在
1.アストロズ :勝率.645(17勝9敗)―
2.エンゼルス :勝率.640(16勝9敗)0.5
3.マリナーズ :勝率.583(14勝10敗)2.0
4.アスレチックス:勝率.520(13勝12敗)3.5
5.レンジャーズ :勝率.346(9勝17敗)7.0
大谷の凄い仲間と好敵手
エンゼルスの主砲マイク・トラウトは今季MLB史上最速の本塁打10号一番乗り!他の選手なら絶好調と言うべきでしょうが、彼に関してはこれがもはやデフォルトなのか、というくらいに安定しています。
球団史上最速の10号本塁打出た!トラウトは今季67本塁打まで行けるかな?https://t.co/e4Ex4cgCo9 pic.twitter.com/ObJb1trTiC
— MLB Japan (@MLBJapan) 2018年4月25日
それから、DRSと呼ばれる守備防御点(シーズンで平均的野手と比べどれだけ失点を防いだか・与えたかを算出する数値)が既に「+6」、昨年まで実働6年で何と「+163」(つまり守備で163点も防いだ)名手アンドレルトン・シモンズの凄い守備も光っています。
シモンズやっぱりすごい!キンズラーとのコンビネーションも決まりゲッツー完成! pic.twitter.com/RbMDCCeJql
— MLB Japan (@MLBJapan) 2018年4月20日
マリナーズとアスレチックスも共に貯金2という上々の成績。マリナーズはイチロー選手の処遇に対するメディアの痛烈な批判に対し、球団側の説明する「ロッカールームでのイチローの必要性」が功を奏しているのか、若手とベテランが上手く噛み合っている印象。
アスレチックスは3年目の左腕、ショーン・マナイアが今季MLB初のノーヒットノーランを達成。しかも相手は17勝2敗と開幕から絶好調のボストン・レッドソックスを相手に達成したのですから、正に快挙です。
ショーン・マナイアが自身最高となる10三振を奪う快投でレッドソックス打線を制圧し、アスレチックス史上7人目となるノーヒットノーランを達成!https://t.co/Q391GMmJU6 pic.twitter.com/xjDmds9CKp
— MLB Japan (@MLBJapan) 2018年4月22日
マナイアは開幕5試合3勝2敗で防御率1.23!デビュー前からトッププロスペクト(将来有望な選手)として評価が高かっただけに、この快挙を経て一気にブレイクするかも!?大谷選手との対戦も投打ともに楽しみです。
このまま行けばアメリカン・リーグ西地区は大混戦へともつれ込むこと必至、大谷選手の働きも非常に重要になってきます。今年からMLBを見始めた皆さんも、まずは大谷選手を通じて観る機会が多いであろう、アメリカン・リーグ西地区に注目してみると面白いかも知れません。
残りわずか!?最も愉快なライバル関係
最後に、アメリカン・リーグ西地区だからこそ楽しめる、そしてMLBを代表する「最も愉快なライバル関係」の二人をご紹介しましょう。
昨年3000本安打を達成した大ベテラン、エイドリアン・ベルトレ(レンジャース)と、今年MLB史上7人目となる10年連続開幕投手を務めたフェリックス・ヘルナンデス(マリナーズ)。二人は2005年から2009年までチームメイト。大親友だからこそ、真剣勝負の中でもコントかと思えるくらいの微笑ましいやり取りを繰り返してます。
昨年ベルトレが3000本安打を達成した直後に対戦した際には、マウンドに上がったヘルナンデスが打席にベルトレを迎えると、試合中にもかかわらずマウンドを降りベルトレの方へ歩み寄り熱い抱擁。場内も拍手喝采という素晴らしいシーンもありました。
対戦成績は打率.224、1本塁打3打点9三振10四球1死球、とヘルナンデスがベルトレを抑えていますが、ヘルナンデスはベルトレについて「年を重ねるにつれ良い打者になっていて、相手にするのが難しい」とも話しています。
ベルトレは今年39歳、この2人の対決ももうあまり残されていないのかもしれないので、お見逃し無く!
文=オカモト“MOBY”タクヤ/SCOOBIE DO(おかもと・もびー・たくや/すくーびー・どぅ)