上位記録のほとんどは1950年代以前のもの
西武の源田壮亮がまたしても俊足でファンを沸かせた。
5月3日のオリックス戦。7回一死二塁の場面で、近藤大亮の真ん中高め直球をとらえた打球は左中間を真っ二つ。二塁走者を還し、源田は滑り込むことなく三塁に悠々到達。リードを5点に広げる適時三塁打で大勝に貢献した。
これで、今季の源田の三塁打は早くも7本目だ。昨季も12球団トップとなる10本の三塁打を記録した源田だが、今季は打率の向上とともに三塁打も激増。シーズン143試合に換算すれば30本超えというとんでもない数字になる。
シーズン三塁打のプロ野球記録は、金田正泰(阪神)の18本。1951年に記録したものだ。さらに、2位16本、3位15本、4位14本までの記録上位もすべて1950年代以前のもの。当時の中継技術が未熟だったことが、現在より多くの三塁打が生まれた原因と考えられる。
また、5位の13本には同数で13人が名を連ねるが、1980年代以降の記録に限れば、松井稼頭央(西武/1997年)、村松有人(ダイエー/2003年)、鉄平(楽天/2009年)、西川遥輝(日本ハム/2014年)の4人のみ。それらを上回る14本であっても、実質的には近代プロ野球における新記録だといえる。
秋山翔吾と中軸の間で得点力向上にも大きく寄与
源田の場合、その14本はもちろんのこと、プロ野球記録の18本の更新も期待できる。
もともと俊足であるうえに、高い走塁技術を持ち併せているのだろう。とにかく、三塁到達までが速いのだ。ここまでの7本の三塁打のうち、実に6本が10秒台。唯一11秒台だったものも、左翼手が打球を見失ったことによって走塁途中から加速したものだ。12秒を切れば俊足の部類に入るといわれることを考えれば、源田の三塁到達タイムが抜きん出ていることは明らかである。
さらに興味深いのが、7本の三塁打のうち5本が左方向への当たりだということ。相手守備の陣形にもよるが、左方向への当たりであっても悠然と三塁打にしていることを思えば、打撃の調子を大きく落とさない限り、やはりシーズン三塁打のプロ野球記録更新の可能性は高いといえそうだ。
また、これだけのペースで三塁打を打っているため、もちろん長打率も高い。本塁打はゼロながら、源田の長打率.508はリーグ7位の数字。2番・源田の前を打つのは高い出塁率を誇る秋山翔吾。源田の三塁打で秋山が一塁から一気に本塁に生還し、さらに怖い中軸へつなぐというケースも目立つ。
本塁打こそ少ないが、“ミスター三塁打”・源田の存在が、西武の得点力向上に大きく寄与している。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)