開幕1カ月を迎えた新外国人選手たち
2018年シーズンが開幕して早くも1カ月が経過した。一般社会であれば、職場や学校など新しい環境にようやく慣れてきた人も多いだろう。プロ野球界でもそれは同様のこと。海を越えて日本にやってきた新外国人選手たちもチームに溶け込み、プレーで数字を残しはじめている。
プレー以外のパフォーマンスで魅せる選手も多くいるが、助っ人外国人選手は成績を残すのがなにより重要。シーズンが開幕して以来、早くも好成績を残してタイトル争いに加わる者もいれば、本来のプレーができずに精彩を欠いている選手もいる。今回はそんな新外国人選手たち(移籍選手含む)の、これまでの成績を振り返ってみたい。
下位チームの先発ローテーションを支える新外国人投手
【投手】
<西武>
ワグナー 13試 2勝1敗1ホールド 防2.19
☆推定年俸9120万円
カスティーヨ 6試 2勝1敗 防4.05
☆推定年俸1億260万円
<オリックス>
アルバース 6試 4勝1敗 防2.70
☆推定年俸9900万円
<日本ハム>
トンキン 16試 1勝0敗8セーブ・4ホールド 防1.72
☆推定年俸1億2000万円
マルティネス 6試 3勝3敗 防3.43
☆推定年俸2億円
ロドリゲス 2試 0勝2敗 防20.25
☆推定年俸5000万円
<ロッテ>
ボルシンガー 5試 3勝1敗 防2.43
☆推定年俸9000万円
オルモス 2試 0勝2敗 防7.71
☆推定年俸6700万円
シェッパーズ 15試 0勝0敗1セーブ・8ホールド 防3.86
☆推定年俸9000万円
(※成績は5月14日時点)
まず目を引くのは、オリックスのアルバースだ。多彩な変化球を武器に打者を打ち取る技巧派という前評判だったが、いざ開幕するとストレートとチェンジアップの緩急で奪三振を量産する本格派なピッチングを披露して早くも4勝をマーク。低迷するチームでルーキーの田嶋大樹とともに奮闘している。
オリックス同様、ロッテもチーム最多勝をマークしているのが新助っ人・ボルシンガー。こちらもカットボールを武器に打たせて取るタイプの投手と評判だったが、実際はカットボールの被打率.400といまいちな一方で、スライダーを軸に組み立てて好投。特に“山賊打線”と恐れられる今季の西武打線と2度対戦して、防御率0.82は素晴らしいという他ない。
【野手】
<ソフトバンク>
グラシアル 7試 率.211(19-4) 本0 点1
☆推定年俸5500万円
<日本ハム>
アルシア 31試 率.287(108-31) 本3 点12
☆推定年俸1億3000万円
<ロッテ>
ドミンゲス 5試 率.067(15-1) 本1 点3
☆推定年俸9000万円
(※成績は5月14日時点)
投手陣と比べ、野手は選手数が少ないうえに成績もいまひとつ。その中で唯一奮闘を見せていたアルシアも、左脚の不安から登録を抹消された。
ゲレーロの半分以下の年俸で3人の好選手を得た中日
今度はセ・リーグの選手たちを見ていこう。
【投手】
<阪神>
モレノ 4試 0勝0敗3ホールド 防0.00
☆推定年俸5700万円
<DeNA>
バリオス 4試 2勝1敗 防4.66
☆推定年俸2000万円
<中日>
ガルシア 7試 4勝1敗 防1.79
☆推定年俸5000万円
ジー 4試 0勝3敗 防4.00
☆推定年俸1億2000万円
<ヤクルト>
カラシティー 12試 1勝0敗3セーブ・1ホールド 防3.00
☆推定年俸7700万円
ハフ 6試 0勝3敗 防5.93
☆推定年俸1億4700万円
(※成績は5月14日時点)
パ・リーグの選手たちほど目立った成績を挙げてはいないが、そのなかでも特に際立つのが中日のガルシア。もともとはメジャー通算51勝を誇るジーの方が期待されていたが、4月末に血行障害でジーが長期戦線離脱を余儀なくされると、そこから2勝を上乗せ。コントロールに難のあるタイプという前触れだったが、動く直球で打者を手玉に取るピッチングを確立している。5月12日の巨人戦では完封勝利を挙げたのも記憶に新しい。
【野手】
<阪神>
ロサリオ 33試 率.244(131-32) 本3 点16
☆推定年俸3億4000万円
<DeNA>
ソト 5試 打率.500(20-10) 本2 点5
☆推定年俸3500万円
<巨人>
ゲレーロ 36試 率.304(135-41) 本7 点24
☆推定年俸4億円
<中日>
アルモンテ 36試 率.360(136-49) 本6 点26
☆推定年俸5000万円
モヤ 13試 率.385(39-15) 本1 点7
☆推定年俸5000万円
(※成績は5月14日時点)
中日は昨年の本塁打王・ゲレーロが巨人に移籍したため、打線の強化でアルモンテとモヤを獲得。すると、アルモンテが大当たり。長打だけでなく、シャープなスイングでヒットを量産し、巨人の坂本勇人と首位打者を争っている。
そして、ビシエド離脱中に一軍に昇格したモヤも、デビュー戦でいきなり4安打を放つなど活躍を見せた。ふたり合わせてもゲレーロの年俸の4分の1というお買い得な補強。投手のガルシアを合わせても半分以下というコスパの良さで、改めて中日の外国人獲得のうまさがわかる結果となった。
前評判の割に不振なのは、阪神のロサリオだろう。開幕から4番を任されてきたが、ここまで3本塁打・16打点は寂しい限り。得点圏打率は通算で.238、ビハインド時になると.056にまで落ち込む。4番打者の重圧に苦しむようなら、一度打順を下げて気楽な立場で打席に立たせてみるのもいいかもしれない。
いずれにしてもシーズンはまだ序盤。チームの成績にも大きく関係してくる新外国人選手たちのこれからの活躍に期待したい。
文=福嶌弘(ふくしま・ひろし)