オールスター前だからこそ見たい対決がある
今年もこの季節がやってきた――。
2005年に始まって以来、形は変わりながらも初夏の風物詩となりつつあるセ・パ交流戦。近年はこの交流戦で優勝したチームがペナントを制するというケースも多く、優勝の行方を占ううえでも重要な戦いとなっている。
その一方で、ファンにとっての大きなたのしみといえば、「普段なかなか見ることのできない対決が見られる」ということ。こちらも交流戦の大きな魅力だ。
リーグの異なる選手による対決の場といえば、かつてはオールスターか日本シリーズしかなかった。特にオールスターは真剣勝負というよりもお祭りムードが強い戦いとなるだけに、異なるリーグのチームとまんべんなく対戦する交流戦はまさに注目カードが盛りだくさん。
というわけで、ここでは今年の交流戦の“注目の対決”をいくつか挙げてみたい。
巨人戦は注目対決が目白押し
まずは選手対選手の対戦のカードを見てみよう。
▼ 注目対決・その1
田口麗斗(巨人) vs. 山岡泰輔(オリックス)
2013年の夏、甲子園出場をかけて広島県大会の優勝を争った両者の対決。山岡が遅れてプロ入りを果たしたことで再戦に期待がかかっていたが、昨年はギリギリで田口のローテーションがズレたこともあって実現しなかった。
最後の対決は延長15回を投げ抜いて0対0の引き分けに終わると、2日後の再試合でも両者ともに7回まで無失点に抑える好投。8回に田口がつかまり、山岡が投げ抜いた瀬戸内が甲子園出場を果たしている。
今季は田口、山岡もともに勝ち星に恵まれずいまひとつな成績となっているが、もしも直接対決となれば互いに闘志に火がつくこと間違いなし。対決をキッカケに復調…なんてこともあるかもしれない。
ちなみに、今季も2人は同じ土曜日に登板している。巨人とオリックスの対戦は交流戦の2カード目・6月1日~3日の3連戦で、真ん中の2日が土曜日。今季こそファン待望の投げ合いは見られるだろうか。
▼ 注目対決・その2
野上亮磨(巨人) vs. 高木勇人(西武)
FAが絡んだ移籍を経験した選手は、FAした側と人的補償で移籍した側とで因縁の対決が生まれやすい。今年、考えられるとすれば巨人-西武のこのふたりだろう。
マイコラスの抜けた穴を埋めるべく野上を獲得した巨人だが、その代償として高木を失うことになった。近年こそ不振だったとはいえ、ルーキーイヤーの2015年には9勝を挙げた投手だけに、ファンの驚きは大きなものだったのも記憶に新しい。
巨人と西武の対戦は6月8日~10日。これまで野上が登板してきた日曜日が含まれているものの、高木は5月2日を最後に二軍で調整中。一軍復帰を果たすことができるのか、こちらも注目だ。
▼ 注目対決・その3
岡本和真(巨人) vs. 中村剛也(西武)
今季の巨人ファンにとって岡本のブレイクは嬉しかったことだろう。その岡本の素質の開花に力を貸したとされているのが、昨オフに合同自主トレを行った中村である。
本塁打王6度の実績を持つスラッガーの指導がよほど効いたのか、伸び悩んでいた岡本は一気にブレイク。ここまでチームトップの9本塁打をマークするなど、今では打線に欠かせない存在となった。
ただし、岡本が飛躍を遂げた一方で、中村は4月終わりに発症した左肩痛のため二軍調整中。交流戦中の復帰が噂されているものの、“師弟対決”に間に合うかどうかは未定となっている。
やはり注目“平成の怪物”
続いては、選手単体ではなく、「選手 vs. チーム」というくくりで見てみよう。
▼ 注目対決・その4
松坂大輔(中日) vs. 西武・ソフトバンク
今季のプロ野球序盤戦を盛り上げた男といえば、松坂大輔の名前なしでは語れないだろう。平成最後の年に復活を遂げた“平成の怪物”は、はじめてセ・リーグのチームのユニフォームを着てパ・リーグのチームに挑む。
なんと言っても注目は、プロのキャリアをスタートさせた西武との対戦。交流戦最後のカード・6月15日~17日に対戦が組まれており、会場はメットライフドーム。故郷に錦を飾ることができるのか、今からその日が楽しみだ。
そしてもうひとつ、チームとしてはソフトバンクとの対戦にも注目が集まることだろう。松坂がメジャーから日本球界に復帰したのが2015年のこと、入団したのは古巣の西武ではなくソフトバンクだった。
しかし、3年12億円とも言われる大型契約も、一軍登板はわずかに1試合のみ。それも1イニング・5失点の大炎上という散々なもので、今季の復活を前向きに捉えられないファンの方もいるのではないだろうか。6月8日~10日の3連戦にも注目だ。
▼ 注目対決・その5
榎田大樹(西武) vs. 阪神
開幕直前のトレードで西武へと移籍した榎田。かつては阪神でセットアッパーとしての地位を確立した左腕だが、近年は新戦力の台頭もあって昨季はわずか3登板。それで西武へと放出されたわけだが、新天地では先発ローテーションに食い込んで4勝をマークしている。
阪神は今季も大黒柱のメッセンジャーと秋山拓巳が両輪として奮闘しているものの、左腕では岩貞祐太の3勝が最高。榎田の活躍ぶりには驚いたファン、そして放出を嘆いているファンも少なくないだろう。
榎田が古巣に恩返しを果たすのか、はたまた古巣・阪神が襲いかかるのか。注目の対戦は6月1日~3日に組まれている。
文=福嶌弘(ふくしま・ひろし)