4試合連続でHQSを達成
阪神・岩貞祐太がまたも見事なピッチングで勝利に貢献した。6月16日の楽天戦に先発した岩貞は走者を背負いながらも粘りの投球を披露。1死満塁と、この日最大のピンチを招いた4回は、アマダー、茂木栄五郎をともにチェンジアップで連続三振に仕留めてみせた。無失点のまま迎えた8回、1死一、三塁としたところでお役御免。桑原謙太朗にマウンドを譲った。
その桑原が今江年晶に適時打を喫したことで、この日の岩貞の成績は7回1/3で1失点(自責点1)となったが、これで、7回以上を自責点2以内に抑えるハイ・クオリティ・スタート(HQS)を4試合連続で達成。先発投手の役割をきっちりと果たし続けている。
ただ、打線の援護に恵まれないために、勝ち星は伸びていない。HQSを達成している直近4試合も、岩貞自身の成績は1勝1敗。今季、ここまではわずかに3勝(2敗)を挙げたのみだ。この日の楽天戦でも、中谷将大の同点打、髙山俊の勝ち越し打が生まれたのは、岩貞がマウンドを降りた後の9回。岩貞に勝ち星がつくことはなかった。
規定投球回まで7回2/3
とはいえ、今季の岩貞は、防御率4.96と振るわなかった昨季とは打って変わり、開幕から好調を維持。防御率2.90、10勝をマークして頭角を現した2016年をしのぐ安定感を見せている。ここまで8試合、52回1/3を投げて自責点はわずかに「8」。1.38という驚異的な防御率を誇る。
現在、セ・リーグの防御率1位は菅野智之(巨人)の2.08。岩貞は、いわゆる“隠れ防御率1位”である。このまま先発ローテーションを守り続けることができれば、近いうちに規定投球回(所属球団の試合数×1.0)に到達し、その間の結果次第では防御率ランキングのトップに躍り出る可能性もある。
多くの選手が口をそろえて「チームの勝利が最優先」とは言うものの、先発投手としては勝ち星も欲しいのが本音だろう。しかし、投手の勝敗は打線に大きく左右されるもの。新外国人・ロサリオの不調、期待の若手野手たちの伸び悩みもあって阪神打線は低迷している。いわば、“投手受難”のチーム状況だが、今の安定した投球を継続することができれば、その先には初の個人タイトルも見えてくるはずだ。
※数字は6月17日終了時点
文=清家茂樹(せいけ・しげき)