混戦模様のナ・リーグに比べ…
今季のメジャーリーグは、ア・リーグとナ・リーグで大きく様相が異なる。現地時間5日時点でのナ・リーグの最高勝率は、ブリュワーズで.598(62勝35敗)と6割に満たない。ナ・リーグで最も勝率が低いチームがマーリンズだが勝率は.404(36勝53敗)と何とか4割をキープしている。
一方のア・リーグはというと、勝率6割超えが4チーム(レッドソックス、ヤンキース、アストロズ、マリナーズ)もあるが、勝率4割未満も3チーム(オリオールズ、ロイヤルズ、ホワイトソックス)と上位と下位の差が大きい。
ア・リーグの中でも特に目立つのが、オリオールズとロイヤルズの“弱さ”だ。現時点の勝率はオリオールズが.279(24勝62敗)、ロイヤルズが.291(25勝61敗)と、ともに3割を割り込んでいる。
ロイヤルズは、1試合平均得点とチーム防御率がともに両リーグ通じてワースト。オリオールズは、1試合平均得点がワースト2位、防御率がワースト3位とこちらもひどい状況だ。ともに投打が全くかみ合わず、負け試合を重ねている。
シーズン2割台は過去2例
ロイヤルズといえば、2014年と15年に2年連続でワールドシリーズに進出し、15年には30年ぶりの世界一にも輝いた。それから僅か3年での低迷だが、16年は81勝81敗、17年も80勝82敗と健闘していただけに今季の不甲斐なさが際立つ。
一方のオリオールズも2シーズン前の16年に89勝73敗の好成績を挙げ、ワイルドカード枠でポストシーズンに進出していた。こちらは僅か2年での転落劇となった。
今季は、まだシーズンは折り返し地点を迎えたばかりで、2チームともに盛り返す可能性もあるだろう。しかし、もしシーズンを終えた時点でも勝率2割台にとどまっていれば、近年のメジャーリーグでは極めて“稀”な出来事となる。
シーズンが162試合制になって以降(ア・リーグが1961年、ナ・リーグは1962年)で見ると、勝率2割台で終えたのは、参入1年目だった1962年のメッツと2003年のタイガースの2例しかない。逆に言うと、参入1年目のチームでも勝率が3割を切ることはほぼないということだ。
62年メッツは40勝120敗1分(勝率.250)、03年タイガースは43勝119敗(.265)と、ともに多くの借金を背負ってシーズンを終えた。果たして今季のロイヤルズとオリオールズは意地を見せられるのか。それとも揃って低迷したままシーズンを終えてしまうのか。ある意味、両チームの今後からも目が離せない。
文=八木遊(やぎ・ゆう)