混戦模様のパは首位打者争いも混沌
オールスターを前に、混戦模様となっているパ・リーグでは、ハイレベルな首位打者争いが繰り広げられている。
思い起こせば、昨季のパ・リーグは最終的に3割打者が秋山翔吾(.322)と柳田悠岐(.310)の2人だけという結果に終わったが、今季も3割打者の人数自体は多くない。
7月8日終了時点では、柳田悠岐(ソフトバンク)が「.353」でトップに立っているが、2位の近藤健介(日本ハム)が「.350」、3位の秋山翔吾(西武)が「.346」と、その差は僅かだ。4位の吉田正尚(オリックス)と5位の中村奨吾(ロッテ)までの5人が打率3割をキープしているが、上位3人の数字は際立っている。
▼ 2018年パ打率トップ5
打率.353 柳田悠岐(ソフトバンク)
打率.350 近藤健介(日本ハム)
打率.346 秋山翔吾(西 武)
打率.310 吉田正尚(オリックス)
打率.305 中村奨吾(ロッテ)
柳田、近藤、そして秋山の3人は、今週開催されるオールスターにもファン投票で選ばれている、名実ともにプロ野球界を代表する左打者。柳田は2015年に、秋山は2017年にいずれも首位打者に輝いた実績を持つ。
近藤は、唯一規定打席に到達した15年に22歳という若さで打率.326をマークし、柳田、秋山に次ぐ3位にランクイン。その年の柳田は「.363」、秋山は「.359」といずれもハイアベレージをマークしていたが、近藤が3年という月日を経て2人に肩を並べようとしている。
その近藤は昨季、故障の影響で57試合の出場に終わったが、一時は“4割打者誕生”の可能性が取り沙汰され、最終的に打率.413という数字を残した。今季も故障と闘いながら高い打率を維持している。
現在、秋山が「.350」を僅かに下回っているが、シーズン終了時点で3人がそろって「.350」以上を記録すれば、1リーグ時代も含めてプロ野球史上初の出来事となる。過去に打率ランキングの上位2人が「.350」以上だったことは、セ・リーグで9回(1950年,51年,54年,76年,80年,81年,82年,86年,2010年)、パ・リーグで4回(1979年,86年,2003年,15年)の計13回あった。
最も惜しかったのは、2010年のセ・リーグ。青木宣親(ヤクルト)が.358で首位打者に輝き、2位平野恵一(.350)と3位マートン(.349)の阪神勢を抑えた。マートンがもう1安打上積みしていれば、3人が打率.350を超えていたことになる。ただしこの年のセ・リーグは3割打者が14人もいた打高投低のシーズンだった。
果たして、今季パ・リーグでプロ野球史上初の記録は生まれるだろうか。そして、激戦の首位打者争いを制するのは…!? 混戦ムードのペナントレースの行方とともに目が離せない展開が待っていそうだ。
【首位打者が「.350」越えのシーズン】
※過去10年
▼2015年<パ・リーグ>
打率.363 柳田悠岐(ソフトバンク)
打率.359 秋山翔吾(西武)
打率.326 近藤健介(日本ハム)
▼2010年<セ・リーグ>
打率.358 青木宣親(ヤクルト)
打率.350 平野恵一(阪神)
打率.349 マートン(阪神)
▼2008年<セ・リーグ>
打率.378 内川聖一(ソフトバンク)
打率.347 青木宣親(ヤクルト)
打率.332 栗原健太(広島)
文=八木遊(やぎ・ゆう)