今シーズンは「打高投低」
今季は明白な「打高投低」シーズンである。ここまで12球団全体の防御率は4.01。2013年から昨季まで直近5シーズン終了後の12球団全体の防御率は、順に3.64(13年)、3.75(14年)、3.42(15年)、3.67(16年)、3.67(17年)。今季の「打高投低」ぶりが一目瞭然だ。
防御率が悪化しているということは、当然、先発が早く降板するケースが増えているはずであり、ブルペンの負担も例年以上に増加しているだろう。おまけに今年は1994年以来ともいわれる記録的な猛暑の年でもある。そんなタフな状況にあって、好成績を残している中継ぎ投手に注目してみたい。下記は、今季30試合以上に登板して防御率2.00未満の投手たちだ。
【30試合以上登板で防御率2.00未満】
山本由伸(オ) 防御率1.41 39試合:4勝1敗25H 1S
石山泰稚(ヤ) 防御率1.44 41試合:3勝0敗 6H17S
嘉弥真新也(ソ)防御率1.45 40試合:2勝1敗13H
松永昂大(ロ) 防御率1.48 38試合:1勝1敗20H
公文克彦(日) 防御率1.62 34試合:2勝0敗 9H
藤川球児(神) 防御率1.85 31試合:2勝1敗 9H 1S
高卒2年目19歳から38歳の大ベテランまで
該当する7人のうち、5人がパ・リーグの投手だ。なかでもずば抜けた防御率を誇るのはハーマン(楽天)。今季開幕直後は失点する場面も目立ったが、松井裕樹の不調により5月11日からクローザーに配置転換されると盤石の投球を披露。以降23試合で失点はわずかに1。現在、18試合連続無失点という安定ぶりだ。
ハーマンに続く1.41という防御率を残したのは山本由伸(オリックス)。高卒2年目の19歳らしからぬ落ち着いたマウンドさばきと多彩な変化球を武器に一気に台頭。今季途中からセットアッパーを任され、球宴出場を果たすなど、実力、人気ともに急上昇中である。
セ・リーグトップの防御率1.44をマークしているのは石山泰稚(ヤクルト)。投手キャプテンに指名された今季は、昨季同様にセットアッパーとして開幕を迎えたが、5月以降に新守護神に就任。長く投手陣が課題とされているチームにあって、見事な守護神ぶりを見せている。セ・リーグでは38歳のベテラン・藤川球児(阪神)の健在ぶりも野球ファンにはうれしいところだろう。
先発投手に比べると、個人タイトル獲得のチャンスも少なく、どうしても注目度が一段下がる傾向にある中継ぎ投手。例年以上に過酷なシーズンにおいて、任された役割を黙々とこなしチームに貢献している彼らの活躍に敬意を表したい。
※数字は7月29日終了時点
文=清家茂樹(せいけ・しげき)