田中が見せた“渡米後最高”の快投
現地時間7月31日(日本時間8月1日)のオリオールズ戦で先発予定のヤンキース・田中将大。今季はここまで防御率が4点台(4.09)となっているものの、勝ち負けは8勝2敗で6つの勝ち越し。前回登板のレイズ戦ではメジャー3度目の完封勝利を収めるなど、徐々に調子を上げている。
実はその前回登板が、田中にとって“渡米後最高”の投球だったことをデータが示している。セイバーメトリクスで先発投手を評価する指標のひとつに『Game Score(ゲームスコア)』と呼ばれるものがあることはご存知だろうか。田中は前回の登板で、渡米後最高のゲームスコアを叩き出していたのだ。
『ゲームスコア』とは、「先発投手の投球内容を総合的なポイントで採点する」という日本ではあまり馴染みのない指標。その中でもいくつか種類が分かれるなか、今回扱う“ビル・ジェームズ版”では50点からスタート。アウトを1つ奪うたびに1点が加算されていき、三振を奪うとさらに1点が追加されるが、安打を許せば逆に2点がマイナスされるといった形で、投球結果により点数が増減していく。ちなみに、満点は9イニングを投げて27奪三振の完全試合を達成した時の114点となる。
田中が前回登板・レイズ戦で叩き出したスコアは「89点」。これは2017年7月28日のレイズ戦で記録した「88点」を1点上回る、渡米後最高の数字だ。
なお、現地7月29日終了時点で「90点」以上を記録していた投手は9人。田中の前回登板は今季のメジャーで10位相当の快投だった、ということになる。
日本人史上最高得点は…
こうなってくると気になるのが、過去の日本人投手たちの記録だろう。日本人メジャーリーガーたちの『ゲームスコア』歴代ベスト5は以下のようになる。
【歴代日本人・ゲームスコアBest5】
1位 99点 野茂英雄 2001年5月25日(対ブルージェイズ)
2位 96点 ダルビッシュ有 2013年4月2日(対アストロズ)
3位 95点 野茂英雄 2001年4月4日(対オリオールズ)
4位 93点 野茂英雄 1995年8月5日(対ジャイアンツ)
5位 93点 野茂英雄 1995年6月24日(対ジャイアンツ)
ベスト5のうち、実に4つが野茂。歴代1位はレッドソックス時代の2001年に1安打・14奪三振の完封勝利を挙げたときのもの。野茂としては珍しい“無四球完封”だったことが高得点に繋がった。
野茂ラッシュのなか、2位に割って入っているのがダルビッシュ有。2013年4月2日のアストロズ戦といえば、完全試合をあと一人のところで逃したという記憶にも新しいあの試合である。
ちなみに、90点以上の“回数”も野茂が最多の6回。ダルビッシュが3回で続き、黒田博樹が2回に岩隈久志が1回。ここに田中が加わり、日本人投手として5人目・通算13回目の90点超えとなった。
最高点・回数ともに野茂がトップを快走しているなか、田中をはじめとする日本人投手たちは野茂に追いつき、そして越えていくことができるか。『ゲームスコア』という数字に注目だ。
文=八木遊(やぎ・ゆう)