ソフトバンクに勝利しタッチを交わす広島ナイン=マツダ(C)KYODO NEWS IMAGES

◆ 初戦の引分けで第8戦の可能性も

 2018年の日本シリーズは2試合を終えて、広島が1勝1分と優位に立った。また、第1戦の死闘が引き分けに終わったことで、今年の日本シリーズが第8戦までもつれ込む可能性も出てきた。

 月曜日の移動日を挟み、ソフトバンクの本拠地、福岡で第3~5戦が行われる。もし第7戦を終えた時点で3勝3敗(1分)なら、第8戦は広島で行われるため、ソフトバンクより2試合多くホームで戦えることになる。これはある意味、アドバンテージと言えるだろう。

◆ 初戦の引き分けは全て広島絡み

 日本シリーズの引き分けは今回が史上8試合目。第1戦に限れば、史上3試合目だった。実は今回も含め、3試合はいずれも広島が絡んでいる。

 1回目は阪急と争った1975年。初戦から阪急が「△〇〇△〇〇」の4勝2分で広島を破り、初の日本一に輝くと、77年まで3連覇を成し遂げた。2回目は1986年。西武が「△●●●〇〇〇〇」と第2戦から3連敗のあと4連勝で広島を破っている。その間、1979年(近鉄に4勝3敗)、1980年(近鉄に4勝3敗)、1984年(阪急に4勝3敗)と広島は3度の日本一に輝いているが、86年以降は、1991年と2016年を含めて3度連続でに日本シリーズで敗れている。

 86年の日本シリーズは第1戦と第2戦を地元広島で戦っており、広島から見た「△〇」という流れは全く同じ状況だ。32年前のシリーズは8試合中7試合が2点差以内、残る1試合も3点差という激闘続きだったが、3連勝のあとの4連敗は、当時を知る広島ファンには苦い思い出となっている。

▼ 1986年:広島3勝4敗
第1戦:△ 2-2 西武(広島)
第2戦:○ 2-1 西武(広島)
第3戦:○ 7-4 西武(西武)
第4戦:○ 3-1 西武(西武)
第5戦:● 1-2 西武(西武)
第6戦:● 1-3 西武(広島)
第7戦:● 1-3 西武(広島)
第8戦:● 2-3 西武(広島)

◆ 工藤監督が再び立ちはだかる!?

 ちなみに第8戦までもつれた“伝説の日本シリーズ”でMVPに輝いたのが現ソフトバンク監督の工藤公康。当時23歳の西武の若きエースは、3敗1分で迎えた第5戦に延長10回からリリーフ登板。12回までの3イニングを無失点で切り抜けると、最後は自らサヨナラ打を放ち、シリーズの流れを西武に引き寄せた。工藤は、その後の第6戦と第8戦でもセーブを挙げ、日本シリーズでMVPを受賞。西武日本一の立役者となり、その後の西武黄金期でも頼れるエースとして君臨した。

 そしてもう一人、“伝説の日本シリーズ”でプレーしていたのが現在ソフトバンクのヘッドコーチとして工藤監督を支える達川光男。86年の日本シリーズで広島の正捕手として攻守に奮闘し、敢闘賞も受賞した。史上唯一、第8戦までもつれ込んだ86年の日本シリーズで土壇場から流れを引き寄せた工藤監督と悔し涙を流した達川コーチの2人を抱えるソフトバンクは、何とも不気味だ。

 今年の日本シリーズに話を戻すと、第2戦を制した広島の現時点における優位は変わらない。広島にとって苦い思い出となっている初戦の引き分けだが、32年前の“悔しさ”を晴らす上で、工藤監督率いるソフトバンクはこれ以上ない相手なのかもしれない。

◆ 広島の日本シリーズ

▼ 1975年:広島0勝4敗2分
第1戦:△ 3-3 阪急(西宮)
第2戦:● 1-5 阪急(西宮)
第3戦:● 4-7 阪急(広島)
第4戦:△ 4-4 阪急(広島)
第5戦:● 1-2 阪急(広島)
第6戦:● 3-7 阪急(西宮)

▼ 1979年:広島4勝3敗
第1戦:● 2-5 近鉄(大阪)
第2戦:● 0-4 近鉄(大阪)
第3戦:○ 3-2 近鉄(広島)
第4戦:○ 5-3 近鉄(広島)
第5戦:○ 1-0 近鉄(広島)
第6戦:● 2-6 近鉄(大阪)
第7戦:○ 4-3 近鉄(大阪)

▼ 1980年:広島4勝3敗
第1戦:● 4-6 近鉄(大阪)
第2戦:● 2-9 近鉄(大阪)
第3戦:○ 4-3 近鉄(広島)
第4戦:○ 2-0 近鉄(広島)
第5戦:● 2-6 近鉄(広島)
第6戦:○ 6-2 近鉄(大阪)
第7戦:○ 8-3 近鉄(大阪)

▼ 1984年:広島4勝3敗
第1戦:○ 3-2 阪急(広島)
第2戦:● 2-5 阪急(広島)
第3戦:○ 8-3 阪急(西宮)
第4戦:○ 3-2 阪急(西宮)
第5戦:● 2-6 阪急(西宮)
第6戦:● 3-8 阪急(広島)
第7戦:○ 7-2 阪急(広島)

▼ 1986年:広島3勝4敗
第1戦:△ 2-2 西武(広島)
第2戦:○ 2-1 西武(広島)
第3戦:○ 7-4 西武(西武)
第4戦:○ 3-1 西武(西武)
第5戦:● 1-2 西武(西武)
第6戦:● 1-3 西武(広島)
第7戦:● 1-3 西武(広島)
第8戦:● 2-3 西武(広島)

▼ 1991年:広島3勝4敗
第1戦:● 3-11 西武(西武)
第2戦:○ 2-4 西武(西武)
第3戦:● 0-1 西武(広島)
第4戦:○ 3-7 西武(広島)
第5戦:○ 3-0 西武(広島)
第6戦:● 1-6 西武(西武)
第7戦:● 1-7 西武(西武)

▼ 2016年:広島2勝4敗
第1戦:○ 5-1 日本ハム(マツダ)
第2戦:○ 5-1 日本ハム(マツダ)
第3戦:● 3-4 日本ハム(札幌)
第4戦:● 1-3 日本ハム(札幌)
第5戦:● 1-5 日本ハム(札幌)
第6戦:● 4-10 日本ハム(マツダ)

文=八木遊(やぎ・ゆう)

この記事を書いたのは

八木遊

1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。

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