過去には吉田正尚、岩貞祐太がブレイクの兆し
11月も終盤に入り、世界各国でウインターリーグが開幕した。日本からも多くの若手選手が武者修行として参加しているが、そのなかでも大きな注目を集めているのが台湾で開催されている『2018アジアウインターベースボールリーグ』(以下、AWB)だろう。
今年はNPBイースタン・リーグ選抜、NPBウエスタン・リーグ選抜、JABA(社会人野球)選抜の3チームが日本から参戦。CPBL選抜(台湾)、KBO選抜(韓国)の計5チームによって12月中旬までリーグ戦が行われ、その後にプレーオフが開催されることになっている。
過去には、このAWBでブレイクのキッカケを掴んだ選手がいる。2015年には岩貞祐太(阪神)が最優秀投手賞を受賞。翌シーズンに自身初の2ケタ勝利(10勝)を達成し、ローテーション投手の一人に成長した。
翌2016年には、吉田正尚(オリックス)が圧巻の成績を残して話題に。ルーキーイヤーのオフに参加した左の大砲は格のちがいを見せつけ、打率・本塁打・打点・安打の打撃4冠を達成。最優秀打者に輝いている。翌年のシーズンでは故障もあり64試合の出場にとどまったが、打率.311、12本塁打、38打点とすべての面で1年目の成績を更新。大器の片鱗を見せた。そして、3年目となった今シーズンは初めて全試合に出場。打率.321、26本塁打、86打点の活躍でベストナインにも選出されるなど、今ではチームになくてはならない存在へと飛躍を遂げた。
村上宗隆、安田尚憲らが躍動中
今年はまだ開幕して1週間ほどだが、早くもアピールを見せている選手が多数。中でも注目は、イースタン・リーグ選抜の村上宗隆(ヤクルト)と安田尚憲(ロッテ)だろう。
村上は2戦目で2打席連続本塁打を含む3安打4打点と大暴れを見せるなど、29日終了時点で5試合・打率.250、出塁率.400、2本塁打、4打点。安田も開幕から2試合連続でマルチ安打を記録するなど、ここまで5試合・打率.263、出塁率333、1本塁打、2打点の成績を残している。
25日の試合では、村上・安田が2者連続本塁打を放ったことが話題になった。ともに昨年のドラフト1位で指名された将来の大砲候補であり、2人とも高卒ながら1年目から一軍の舞台に立った。AWBでの武者修行を経て、高卒2年目の来季大きな飛躍を…と期待する声も大きい。
ウエスタン選抜では、増田珠(ソフトバンク)が3試合連続安打の好スタートを切った。こちらも村上・安田と同世代にあたる昨年の高卒ドラフト組。松田宣浩の後継者候補として大きな期待がかかるなか、ソフトバンクは今年のドラフトで同じポジションになるであろう野村大樹(早稲田実)を指名した。入ってくる後輩に差をつけるためにも、ここで経験を積みたい。
投手陣を見ると、イースタン選抜の星知弥(ヤクルト)が5回無失点、7奪三振と好投。ウエスタン選抜では、K-鈴木(オリックス)がイースタン選抜を相手に7回2安打無失点の快投を披露した。今後のアピールが楽しみだ。
オフに武者修行へ送り出してもらえるというのは、球団からの期待の表れでもある。与えられた貴重な実戦の場できっかけを掴み、来シーズンの飛躍に期待したい。
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※初出時に村上選手と安田選手の打率が出塁率の数字になっており、訂正いたしました。申し訳ございません。
(2018年11月30日12時30分)