「制球」に苦しんだ10年目
かつてボストン・レッドソックスの世界一に貢献したセットアッパーも衰えを隠せないシーズンとなった。渡米10年目を迎えた田沢純一の今季は、マーリンズで始まり、途中デトロイト・タイガース(マイナー)を経由し、最終的にはロサンゼルス・エンゼルスの一員としてシーズンを終えた。
最終的なメジャーでの今季合計成績は、31試合、1勝1敗2ホールド、防御率7.07。エンゼルス移籍後は、9月に入って9試合に登板し、防御率2.25と復活への手応えを感じさせる数字で1年を締めくくった。
田沢の2018年を振り返ると、とにかく制球に苦しんだシーズンだったといえる。全盛期は1点台もしくは2点台だった与四球率は自己ワーストを大きく更新する「5.14」にまで悪化。制球が定まらず、ストライクを取りにいった甘い球を痛打されるシーンが目立った。
また制球力の不安定さは、相手打者により多くの“強い”打球を打たれることにもつながった。野球データサイトの『Fangraphs』によると、打球の強さを3段階(Soft%、Med%、Hard%=左から弱中強)で分類した際、田沢の今季Hard%(強い打球だった割合)は「45.6%」と半数近くが強い当たりだった。全盛期はこの値が「20~30%台」なので、その違いがよくわかる。
球種別の投球割合を見ると、スプリットの割合が大きく減った。2013年以降は20%台で推移していたが、18年は16.6%まで低下。打者を追い込む前に打たれてしまうケースが多かったこともあるだろうが、来季はカウントを取る球種としても積極的にスプリットを投げるべきだろう。今季のスプリットの被打率は.250とまずまず抑えていた。
田沢は、このオフにフリーエージェントとなっており、来季メジャー契約を結ぶ球団が現れるかは微妙な状況だ。32歳とまだ老け込む年齢ではないが、ここ数年の成績を見る限りは、マイナー契約からメジャー昇格を目指す形になる可能性が高い。田沢は再びかつての輝きを取り戻すチャンスを得られるのか。今後の動向にも注目だ。
▼ 田沢純一
生年月日:1986年6月6日(32歳)
身長体重:180センチ/90キロ
投 打:右投右打
守備位置:投手
<今季成績>
登板数:31試合
投球回:28回
勝利数:1勝
敗戦数:1敗
ホールド:2
セーブ:0
防御率:7.07
奪三振:28個
与四死:19個
K/BB:1.75
<通算成績>
登板数:388試合
投球回:395.1回
勝利数:21勝
敗戦数:26敗
ホールド:89
セーブ:4
防御率:4.12
奪三振:374個
与四死:130個
K/BB:3.43
文=八木遊(やぎ・ゆう)