大谷と同地区になり…
マリナーズ入団が決まった菊池雄星が6日、日本に帰国。7日には古巣である西武の球団事務所を訪れ、別れの挨拶を済ませると、「本当に感謝の思い出いっぱいですし、ライオンズで良かった」とこれまでの9年間を振り返った。
今年から活躍の場をアメリカに移すことになるが、移籍先であるマリナーズが所属するア・リーグ西地区には、大谷翔平が所属するエンゼルスもいるため、同地区に対する注目度は昨年以上に高まることが予想される。
菊池は、シーズンを通じてア・リーグ西地区の強打者たちと数多く対戦することになる。一番の注目は当然、今季は打者に専念する大谷との「花巻東高」対決になるだろう。パ・リーグ時代は、打者・大谷と2度対戦し、通算5打数2安打。メジャーでは1年先輩になる大谷との勝負は、日本だけでなくアメリカでも高い注目を浴びることになるだろう。
右の強打者がズラリ
菊池は「ホームランバッターがたくさんいると思うので、そういう打者たちに自分のボールがどこまで通用するのか、挑戦することが楽しみ」と話していたが、特にこの地区には強打の右打者が揃っている印象。菊池自身の被打率を見る限り、左右のどちらかを苦手にしているわけではないが、被安打における被本塁打の割合は右打者の方が圧倒的に多い。その点はメジャーの舞台でも気をつけたいところだろう。
▼ 過去3シーズンの左右打者別対戦成績
<2018年>
左:被打率.213(225-48)被本塁打 5本
右:被打率.208(366-76)被本塁打11本
<2017年>
左:被打率.193(238-46)被本塁打 1本
右:被打率.179(425-76)被本塁打15本
<2016年>
左:被打率.231(199-46)被本塁打 0本
右:被打率.231(307-71)被本塁打 7本
大谷の所属するエンゼルスには、メジャーを代表する右スラッガーの一人であるマイク・トラウトもいる。まだ27歳と若いが、すでに2度のMVPを獲得し、2年目の2012年から7年連続でオールスターにも選出されているスーパースターだ。エンゼルスとの一戦では、大谷との対戦に加え、トラウトとの対戦にも注目したい。
その他にも、強豪アストロズの上位打線には、ジョージ・スプリンガー、アレックス・ブレグマン、ホセ・アルテューベ、カルロス・コレアなど、いずれもシーズン30発のポテンシャルを持つ右打者がズラリと並ぶ。
2014年にDeNAでプレーしたユリエスキ・グリエルもアストロズ打線に欠かせない打者の一人。菊池とグリエルは、日本時代に一度だけ対戦し、その時は3打数1安打(左安、四球、見三振、遊飛)という結果だった。5年の時を経て、今度はメジャーの舞台で再び対戦することになる。そのグリエルは昨季、左投手相手に「.331」という高打率をマークしたサウスポーキラーであり、注意が必要だ。
菊池がオープン戦で結果を残せば、日本での開幕シリーズ2試合のどちらかで“凱旋”登板を果たす可能性もある。昨季地区2位に食い込んだアスレチックスが開幕カードの相手になるが、このチームにも右の大砲は多い。4番のクリス・デービスは昨季48本塁打を放ち、ア・リーグ本塁打王に輝いたスラッガー。他にも2年目の昨季、24本塁打を放ちブレークしたマット・チャプマンがいる。そのチャプマンは、去年4月に大谷の投手デビュー戦で本塁打を放った選手だ。
このようにア・リーグ西地区は右打ちの強打者が多く、シーズン中に何度も対戦することになるだろう。シーズン中はその投球とともに、強打者たちとの手に汗握る対戦にも注目したい。
文=八木遊(やぎ・ゆう)