2017年から一気に進化した菊池雄星
2019年1月3日(日本時間同4日)、ポスティングシステムにより西武から米マリナーズ入りした菊池雄星が本拠地・Tモバイル・パークで入団会見をおこなった。日本球界を代表する左腕のメジャー挑戦がいよいよはじまることになる。
いまの菊池は、とにかく走者を出さない投手だ。特に、大きな飛躍を果たした2017年からは与四球率や被打率が大きく改善。その進化は、「(与四球数+被安打数)÷投球回」という数式で導かれる「WHIP」という指標にも劇的に表れている。WHIPとは「Walks plus Hits per Inning Pitched」の頭文字を取ったもの。1投球回あたりの四球と安打で許した走者の数である。
2017年、菊池のWHIPは「0.91」とリーグトップの数字を記録した。2018年も岸孝之(楽天)に次ぐリーグ2位の「1.03」という高水準の記録を維持し、「1.32」程度が平均といわれるなか、菊池のWHIPは通算でも「1.17」と非常に優秀である。
失点しなければ絶対に負けないのが野球というスポーツだ。であれば、投手が目指すべき最大の目標は、相手に出塁を許さないこととなる。その目標をどれだけ達成しているか、WHIPで検証してみたい。以下は2014~2018年の5シーズンで計250投球回以上を記録した計94人の投手における、直近5シーズンのWHIPランキングだ。
▼ 直近5シーズンWHIPランキング
0.80 サファテ(ソフトバンク)
0.99 マイコラス(巨人)
1.00 菅野智之(巨人)
1.025 岸 孝之(楽天)
1.026 大谷翔平(当時日本ハム)
1.05 前田健太(当時広島)
1.06 秋吉 亮(日本ハム)
1.096 千賀滉大(ソフトバンク)
1.103 森 唯斗(ソフトバンク)
1.11 バンデンハーク(ソフトバンク)
※250投球回以上
日本人トップは球界の大エース・菅野智之
見事1位に輝いたのはサファテ(ソフトバンク)。先発投手に比べ、短いイニングに全力で臨める中継ぎ投手のほうがWHIPは優秀な数字となる傾向にあるが、それでも「0.80」という数字は驚異的なものである。2018年は負傷と手術によりリハビリに終始したものの、2019年に復帰予定。鷹の絶対的守護神らしい投球を再び見せてほしいものだ。
そのサファテのほか、ソフトバンク投手陣からはなんと4人がランクイン。過去5シーズンで3度のリーグV、4度の日本一を誇る圧倒的な強さも納得である。
日本人トップとなったのは菅野智之(巨人)。2018年には投手三冠に輝き、あらゆる指標でリーグ1位となった菅野。WHIPでも2016年から3年連続でリーグ1位であり、対戦相手からすれば得点はおろか出塁することすら困難な大エースとなりつつある。
ちなみに先述した菊池のWHIPは「1.16」で14位。惜しくもトップ10入りは逃したが、直近2年に限れば1.00を切る「0.97」という抜群の数字である。急激に安定感を増してきた菊池が、メジャーの舞台でどんな投球を見せてくれるだろうか。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)