2018年被本塁打率ランキング
マウンド上の投手がもっとも恐れるものといえば、おそらく本塁打だろう。どんなに好投を続けていたとしても、たった1球の失投をスタンドまで運ばれて敗戦投手となる場合もある。逆にいえば、「一発を食わない投手」は、それだけでチームにもファンにも安心感を与えてくれる存在だ。
たとえば、2017年シーズンまでのドリス(阪神)はまさにそんな投手だった。2016年に阪神に加入したドリスは、2017年9月5日の広島戦で安部友裕(広島)に被弾するまで、本塁打を一切許していなかった。その年の被本塁打もその1本のみ。9投球回当たりの被本塁打数で表す被本塁打率を見ると、2016年は0.00、2017年は0.14という驚異的な数字だ。
では、2018年シーズンの「一発を食わない投手」は誰だったのか。以下は、2018年に50投球回以上を記録した投手113人における「被本塁打率ランキング」だ。
▼ 2018年被本塁打率ランキング
※50投球回以上<被本塁打率(被本塁打/投球回)>
1位 バリオス(DeNA) 0.17(1本/54回)
2位 原 樹理(ヤクルト)0.24(3本/110回2/3)
3位 柳 裕也(中 日) 0.34(2本/53回1/3)
4位 トンキン(日本ハム)0.35(2本/51回)
5位 ローチ(オリックス)0.36(2本/50回1/3)
6位 メルセデス(巨人) 0.39(4本/92回)
7位 フランスア(広島) 0.42(3本/65回)
8位 パットン (DeNA) 0.48(3本/56回)
8位 三上朋也 (DeNA) 0.48(3本/56回)
10位 藤川球児(阪 神) 0.50(3本/54回1/3)
日本人トップは飛躍的成長を遂げた原樹理
ちなみに「ワースト3」は、今永昇太(DeNA/1.91)、野上亮磨(巨人/1.89)、藤平尚真(楽天/1.88)の3人。いずれも9回を完投すれば2本近い本塁打を浴びる計算となる。
一方、上位は外国人、それから中継ぎ投手が中心のランキングとなった。短いイニングに全力で臨む中継ぎ投手が先発投手より被本塁打率では好成績を残すのは当然といえば当然だ。しかし、意外にも上位3人は先発中心の投手たち。バリオスは14試合中10試合、原樹理(ヤクルト)は30試合中17試合、柳裕也(中日)に至っては10試合すべてが先発登板であった。
しかも、バリオスと原の場合、それぞれの本拠地は横浜スタジアムと神宮球場といういずれも狭く本塁打が出やすい球場。それだけに数字以上に価値があるといえるだろう。
特に原は、2017年と比較して大きな成長がうかがえる。2017年の原は、131回1/3を投げて被本塁打は19。被本塁打率1.30から0.24へのジャンプアップである。神宮球場のヤクルトファンの目には背番号16が頼もしく映るようになってきたはずだ。
2019年にも原のような飛躍的成長を見せる投手は現れるか。個人タイトルの行方はもちろん、チームとファンに安心感を与える「一発を食わない投手」にも注目していきたい。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)