昨年は内野の要を固定できず……
2月1日のキャンプインまであとわずか。各球団から一軍・二軍のキャンプメンバーの振り分けが続々と発表されている。そんななか、矢野燿大新監督となった阪神は43名を一軍メンバーとして発表。昨年は40名だったので、実質3名増えたことになる。
このオフ、阪神は投手の補強を中心に行ってきた。エースのメッセンジャー頼みだった先発陣に、西勇輝(前オリックス)とオネルキ・ガルシア(前中日)が加わった。これによってリーグ屈指の3本柱が形成され、そこに秋山拓巳、岩貞祐太、藤浪晋太郎らが続く。さらには才木浩人、浜地真澄、小野泰己といった若手投手陣も控えており、ローテーション争いが激しくなることは想像に難しくない
その先発投手陣と同様に激しい競争が巻き起こりそうなのが、内野の要でもある遊撃のポジションだ。阪神の遊撃手は長らく鳥谷敬が君臨していたが、近年は固定できていない状況にある。昨年も植田海(74試合)、北條史也(56試合)、糸原健斗(30試合)と3人が30試合以上(途中出場含む)に出場している。
鳥谷、北條、植田、木浪の争いに?
そして、今年の遊撃手争いはさらに激しいものとなりそうだ。
昨年末に鳥谷が「遊撃手で勝負したい」と矢野監督に直訴。また、ドラフトでは3位で社会人出身の即戦力候補・木浪聖也(ホンダ)を獲得している。糸原は二塁で起用されることが濃厚だが、植田や北條は今年も遊撃手で勝負となるだろう。キャンプからオープン戦にかけて、ベテランの鳥谷に若手の北條と植田、そしてルーキー・木浪の4人が争うことになる。
実績や経験という点では、鳥谷が圧倒的だろう。しかし、年齢による衰えを隠すことはできず、昨年は攻守ともに精彩を欠いた。チームでは福留孝介、糸井嘉男といったベテランたちが主軸を張っているだけに、プロ入り時の原点である遊撃のポジションで復活に賭ける。
2016年の途中から鳥谷と入れ替わるように遊撃で起用されてきた北條も、未だレギュラーを奪取するには至っていない。昨年は7月に打率.400(60-24)を記録するなど打撃好調だったが、試合中のアクシデントで戦線離脱。シーズン通算では62試合の出場で打率.322(239-77)と好成績を残しており、ケガが癒えればレギュラーに最も近い存在となりそうだ。
若手有望株のひとりである植田は、俊足を買われて昨年の4月後半から遊撃のレギュラーを掴みかけた。キャリアハイとなる104試合に出場したが、打率は1割台に低迷。打撃力の向上がすべてという感じだが、期待度は高い。
最後に木浪だが、新人ということもあり未知数ではある。しかし、近年の球界では社会人出身の即戦力遊撃手が活躍を見せる流れが顕著で、チームメートの糸原をはじめ、源田壮亮(西武)や藤岡裕大(ロッテ)といったところがプロ1年目から結果を残している。木浪がいきなりレギュラーを奪い取っても、なんら不思議ではない。
実績の鳥谷、打撃の北條、俊足の植田、可能性の木浪とそれぞれのウリは異なる。当然、最下位脱出のためにも内野の要である遊撃手は固定したいところ。果たして、矢野監督はどのような決断を下すのだろうか。虎の遊撃手争いに注目だ。