コラム 2019.01.28. 18:00

“オキテ破り”?の即戦力指名…松本航は西武の救世主になるか

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西武入団を内諾し、握手を交わす松本航(日体大)と渡辺久信SD(西武)

白球つれづれ2019~第4回・チームの弱体化を救う男


 西武には、新人獲得に際して不文律がある。「高校生野手で逸材がいる年はためらわずに野手で行くべし!」――。これは伝説のスカウトマンであり、チーム強化の柱だった故・根本陸夫の教えだ。

 昨年のドラフト前には、その言葉に従い根尾昂(大阪桐蔭~中日)を推す声もあったが、最終的に下した決断は即戦力投手の指名だった。「(菊池)雄星のメジャー行きが決まっていたからね。ここはピッチャーで行くしかないと」。今季から球団初となるGM職に就任した渡辺久信が当時の舞台裏を明かす。

 そこで1位指名されたのが松本航だ。しかも、複数球団の競合も予想されながら、ふたを開けてみれば鮮やかな一本釣り。レオ軍団は大学球界No.1の即戦力右腕を手に入れた。

 注目度では前述の根尾や藤原恭大(大阪桐蔭~ロッテ)、吉田輝星(金足農~日本ハム)らの甲子園ルーキーには劣っている。そればかりか、西武第二球場で27日まで行われていた合同自主トレを覗いても、すぐに松本を見つけるのは難しい。

 176センチの身長は新人の中でも小兵の部類。特に今年はドラフト2位の渡辺勇太朗(浦和学院)が190センチ、育成2位の大窪士夢(北海高)に至っては198センチもある。だが、ひとたび松本がブルペンに入ると素材の素晴らしさは一目瞭然だ。

 満を持して、投球練習を開始したのは18日のこと。まだ6~7割の力でストレートだけ14球を投じたが、これを受けたブルペン捕手の荒川雄太のコメントが素材の良さを端的に表していた。

 「ボールがズドーンと来る感じ、半端ねぇ」。今月末には監督の辻発彦も視察にやってきたが、伸びのある投球を目の当たりにして「この時期としては十分」と目を細めた。


「気負わず、焦らず…」


 「ゲームを、マウンドを支配できる男」。渡辺久信の松本評である。

 明石商時代からプロの評価を受けていたが日体大に進学。この4年間でストレートの最速は155キロまで伸び、スライダーやスプリットなどの多彩な変化球も身につけて大きく成長した。四隅に投げ分ける制球力も文句なしで、首都大学リーグでは30勝・300奪三振を記録。これは巨人の大エースである菅野智之の東海大時代に並ぶ快挙だ。ここぞという時は快速球で三振を取れる。走者を許しても抜群のコントロールで自ら崩れることは無い。だからこそゲームを支配できる。

 昨季は10年ぶりのリーグ優勝を果たしたものの、クライマックスシリーズではソフトバンクに完敗。闘将・辻は悔し涙を流した。そのうえ、オフには菊池雄星のメジャー挑戦に、浅村栄斗(楽天)と炭谷銀仁朗(巨人)のFA移籍でチームは栄光から一転、弱体化の危機に瀕している。

 中でも最大の不安点は投手陣だ。昨年でさえ、投手成績はリーグ最下位。チーム防御率4.24は、これで連覇を口にできる数字ではない。そこに昨季14勝(4敗)をマークした絶対的エース・菊池の流失だから首脳陣も頭が痛い。

 今季の先発ローテーションを描いてみても、外国人を除けば多和田真三郎に榎田大樹、今井達也に炭谷の人的補償で巨人から移籍の内海哲也くらいしか計算のできる投手は浮かばない。「若手がチャンスと思って競争の中から出てきて欲しい」という辻の頭の中には当然、松本の期待通りの働きが描かれている。

 キャンプイン目前。注目を集めていた根尾も、吉田も二軍スタートが決まっている。人気の高校生ルーキーから、注目は紅白戦やオープン戦での“実戦力”へと移っていく。伝統の掟まで破って獲得した即戦力男の真価が問われる時期がやってきた。

 「気負わず、焦らず、一歩一歩段階を上げながらやっていきたい」。決して派手な言動を残すタイプではない。だが、このまま調子を上げていけばどんなピッチャーになっていくのか……。そんな期待を松本には感じる。

 ベールを脱ぐまであとわずか。松本航の長いプロ人生が始まった。


文=荒川和夫(あらかわ・かずお)



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