コラム

経緯や頻度、規模もまるでちがう…日米のトレードの特徴

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新天地でチャンスを掴んだ榎田大樹(C)KYODO NEWS IMAGES

昨年は西武の榎田が大成功


 長かったオフも終わり、春季キャンプがはじまった日本のプロ野球。これ以降の時期になると補強の動きはめったになく、各チームがシーズン開幕に向けた準備を進める期間となる。

 そんななか、動きがあるとすれば開幕直前のトレードだ。キャンプやオープン戦で所属選手を思わぬアクシデントが襲った場合、そのへこみを補填すべくトレードに打って出る球団も出てくる。“駆け込みトレード”という呼ばれ方もするが、3月に入ってから開幕直前までの時期は各球団の動向に注目が集まる。


 例えば、昨季は3月16日に西武と阪神の間でトレードが成立。西武は右腕の岡本洋介を放出し、左腕の榎田大樹を獲得した。

 当時の西武としては頼れる先発左腕が菊池雄星のみで、そうした事情から中継ぎの武隈祥太を先発に回すという構想があった。ただし、左のリリーフは高橋朋己の状態面に不安があり、全体的に左投手の層に不安を抱えていた。

 そこで榎田に白羽の矢が立ったわけだが、シーズンが始まってみると榎田は先発ローテーションに定着。キャリア最多の11勝(4敗)を挙げただけでなく貯金を7つも作るという大健闘を見せ、チームの優勝に大きく貢献して見せた。

 榎田のような大成功例は稀だが、日本球界における“トレードが活発な時期”があるとすれば、この後の3月から開幕直前というところがひとつ挙げられる。

 今年で言うと、キャンプを前に正捕手候補の清水優心が腰痛で離脱した日本ハムは要注目。日本球界のなかでも特にトレードに積極的な球団のひとつであり、清水の状態次第では捕手の補強に動く可能性も大いにあるだろう。


トレードが活発なメジャーリーグ


 一方、メジャーリーグにおけるトレードの特徴といえば、その規模の大きさだろう。

 チーム数の差はあるものの、メジャーは日本に比べてとにかくトレードによる移籍が活発。特にメジャーではチーム方針がハッキリしており、本気で優勝・世界一をめざすチームはこれでもかと大物選手の獲得に動き、それが分かっている再建中の球団は積極的に主力を放出して若手有望株を狙いに行く。

 立場がくっきりと分かれることで需要と供給が合致しやすいため、時には両チーム合わせて5人以上の選手が動くものや、3球団にまたがっての大型トレードというのも珍しくない。

 今回はそんなメジャーリーグのなかでも特に大きいトレードや、印象的なトレードをピックアップしてみた。


計12人が移籍した世紀の大型トレード


 メジャーリーグ史上稀に見るブロックバスター・トレード(多くの主力選手や若手選手が絡んだトレードのこと)といわれているのが、2012年11月13日に行われたトレードだ。マーリンズとブルージェイズ間で行われたこのトレードでは、なんと合計12選手が移籍した。

 マーリンズからはホセ・レイエスやジョシュ・ジョンソンといった実績のある選手を含む5人、ブルージェイズからはユネル・エスコバーなど勢いのある若手に加え、マイナープロスペクトだったジェイク・マリスニックなど7選手が移籍した。

 当時のマーリンズはチームの再建を図っており、高額年俸の主力を放出して将来有望な若手を獲得しようとしていたのが、この大型トレードが成立した要因だ。


 また、MLBでは3球団でトレードを行う「三角トレード」も頻繁に起こっている。その場合は移籍する人数が多くなる傾向にあり、例えば2015年7月30日にドジャース、マーリンズ、ブレーブス間で行われた三角トレードは、なんと13人もの選手が関わった超大型トレードとなった。

 他にも、同じく2015年のウインターミーティングではホワイトソックス、レッズ、ドジャースの三角トレードが成立し、7選手が移籍している。

 ちなみに、上述の夏のトレードでブレーブスからドジャースに移籍したホセ・ペラザは、冬のトレードでドジャースからレッズに移籍。短期間で2つの大型三角トレードに関わることとなった。


最近の印象的なトレードは…


 ビッグネームを多く含むブロックバスター・トレードとして注目を集めたのが、2012年8月に成立したレッドソックスとドジャースのトレードだ。レッドソックスはエイドリアン・ゴンザレス、ジョシュ・ベケット、カール・クロフォードなどチームの主力を含む4選手を放出。ドジャースからは若手有望株を含む5選手が移籍した。

 金銭を含んでいるとはいえ釣り合わないトレードにも思えるが、当時のレッドソックスは主力を放出してでもチームをリセットしようと考えていた。一方のドジャースはシーズンを勝ち抜くために即戦力の獲得を希望していたため、この異例のビッグディールが成立したのだ。

 ちなみに、レッドソックスから移籍した4人のうち、移籍後も活躍を見せたのはエイドリアン・ゴンザレスのみ。レッドソックスとしては放出して正解だったといえるだろう。


 直近のブロックバスター・トレードなら、やはり2018年12月3日に成立したマリナーズとメッツのトレードだろう。マリナーズからはチームの顔といえるロビンソン・カノと、2018年シーズンで最多セーブ投手のタイトルを獲得したエドウィン・ディアスを放出。メッツからは若手有望株を含む5人が移籍することとなった。

 マリナーズはチームの建て直しを図っており、すでにジェームス・パクストンやマイク・ズニーノを放出していた。そのため、高年俸ながらやや衰えの見えるカノの放出は大方の予想どおりだったといえる。しかし、まだ24歳と若く、年俸調停前だったディアスの放出については批判も少なくなかった。

 ただし、メッツから獲得した5人には、リーグトップクラスのプロスペクトであるジャレッド・ケレニックが含まれており、チームの立て直しを図るマリナーズにとってはベストといえる補強。大きく陣容の異なる来季のマリナーズがどのような戦いを見せるか注目だ。



文=中田ボンベ@dcp


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