コラム 2019.02.18. 18:30

平成30年間では生まれず…“高卒1年目野手”の新人王

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ロッテ・藤原恭大

“昭和ラスト”に立浪が新人王


 今年4月30日に「平成」が幕を閉じ、5月1日に新元号が施行される。プロ野球界では、平成の30年間に多くの大記録や名選手が生まれたが、高卒1年目野手が新人王を取ることは一度もなかった。

 最後に高卒1年目の野手が新人王に輝いたのは、1988年(昭和63年)の立浪和義(中日)だった。

 “昭和最終年”となったそのシーズン、中日は当時不動の遊撃手・宇野勝を二塁にコンバートしてまで立浪に遊撃のポジションを与えた。1年目から110試合に出場した立浪は、打撃だけでなく守備・走塁でも高い評価を受け、セ・リーグ新人王を受賞。その後も長く中日の顔として君臨し、引退までに通算2480安打を放った。

 その2年前の1986年(昭和61年)には、同じPL学園の先輩・清原和博(西武)もパ・リーグの新人王に輝いていた。清原は高卒ルーキーとしては驚異的な打率.304、31本塁打、78打点を記録。通算525本塁打は歴代5位の大記録だ。

 それより以前にさかのぼると、1950年代に4人の高卒野手が新人王に輝いている。中西太(1952年/西鉄)、豊田泰光(1953年/西鉄)、榎本喜八(1955年/毎日)、張本勲(1959年/東映)。この4人はいずれも野球殿堂入りを果たした昭和の名選手だった。


注目集める“ゴールデントリオ”


 5月に新元号がスタートする今季は、プロ野球にとっても新たな時代となる。注目は昨年のドラフトで1位指名された高校生野手3人だろう。

 フタを開けてみると、西武以外の11球団が根尾昂(中日)、藤原恭大(ロッテ)、小園海斗(広島)の3人を重複指名。異例の1巡目指名は大きな話題を呼んだ。

 この春のキャンプでも3人の動向は大きく取り上げられ、話題には事欠かない。しかし、3人にとって開幕一軍、そして1年目からの一軍定着というのは容易なことではないだろう。

 特に根尾と小園は経験値がものをいう遊撃手。それぞれ京田陽太、田中広輔という強力なライバルの存在もあり、1年目は多くの時間を二軍で過ごす可能性が高い。

 一方、ロッテの藤原は3つのポジションがある外野手だ。練習試合などでもしっかり安打を重ねており、3人の中では開幕一軍に最も近い位置にいる。走攻守の完成度という点では、1988年の立浪以来で31年ぶりとなる快挙も意識させられるほどである。

 平成の30年間では、イチローや松井秀喜、大谷翔平らの偉大な選手たちも新人王どころか、1年目は一軍に定着すらできなかった。果たして藤原、根尾、小園のゴールデントリオは、1年目にどれくらいの数字を残すのだろうか。開幕へ向けて3人から目が離せない。


文=八木遊(やぎ・ゆう)


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