石井GMが就任した楽天
2年連続でリーグMVPに輝いた男の移籍や、主将として10年ぶりのリーグ優勝に大きく貢献した男の移籍など、昨オフは例年以上の盛り上がりを見せたストーブリーグ。パ・リーグでは、最下位からの逆襲を目指す楽天が積極的な動きを見せた。
大きなポイントといえば、石井一久氏が昨年9月1日付でゼネラルマネジャー(GM)に就任したこと。最初の仕事となったドラフト会議では、3球団が競合した藤原恭大(大阪桐蔭→ロッテ)こそハズしたものの、再入札で4球団が競合した立命館大・辰己涼介の交渉権を獲得した。
さらに、FA戦線ではかつての仲間であった西武・浅村栄斗を口説き落として争奪戦に勝利。新外国人選手の発掘にも余念がなく、エンゼルスで大谷翔平とチームメイトだったジャバリ・ブラッシュの獲得に成功と、課題だった打線の強化に尽力した。
日本球界ではまだまだ馴染みの薄い“GM”という役職であるが、メジャーでは一般的な存在だ。仕事の内容は様々だが、日本では主に編成部や球団幹部が考えるチーム編成や、方針などを決めていくといった業務を行う。
過去にもGM職を置いた日本の球団はあったが、一体どんな効果をもたらしたのか。かつて日本のプロ野球界でGMに就任した人物を振り返りながら、就任初年度の成績と前年成績を比較してみた。
軒並み好成績!
これまでに日本のプロ野球界でGMを務めた人物は延べ6名。彼らの成績は以下の通り。
▼ 広岡達朗(ロッテ) ※在籍:1995年~1996年
[初年度成績] 69勝58敗3分=2位
[前年度成績] 55勝73敗2分=5位
▼ 高田 繁(日本ハム) ※在籍:2007年~2009年
[初年度成績] 79勝60敗5分=1位
[前年度成績] 82勝54敗=1位
▼ 王 貞治(ソフトバンク) ※在籍:2009年~
[初年度成績] 74勝65敗5分=3位
[前年度成績] 64勝77敗3分=6位
▼ 高田 繁(DeNA) ※在籍:2012年~2018年
[初年度成績] 46勝85敗13分=6位
[前年度成績] 47勝86敗11分=6位
▼ 落合博満(中日) ※在籍:2014年~2017年
[初年度成績] 67勝73敗4分=4位
[前年度成績] 64勝77敗3分=4位
▼ 吉村 浩(日本ハム) ※在籍:2015年~
[初年度成績] 79勝62敗2分=2位
[前年度成績] 73勝68敗3分=3位
日本球界で初めてGM制度を導入したのは、1995年のロッテだった。
オーナーの誘いを受けるかたちで広岡達朗氏が就任したが、さっそく監督にレンジャーズの監督を務めていたボビー・バレンタインを招へい。そして、現役バリバリのメジャーリーガーだったフリオ・フランコらを獲得した。シーズンが進むにつれバレンタインとの軋轢が表面化し、最終的にはバレンタインがチームを去ることになったが、肝心の成績は10年振りのAクラスとなる2位に入るという成績を残している。
それ以降、GMを迎え入れたチームはなかなか現れなかったが、2007年に日本ハムが高田繁氏をGMに据えると見事にリーグ2連覇を達成。その後もGMを迎え入れたチームはそれなりの成績を収めただけでなく、チームの強化にも一定の成果をあげていると見ることができる。
石井一久をGMに据えた楽天もまた、これまでのチームのように好成績をあげることができるだろうか。新生・楽天から目が離せない。
文=福嶌弘(ふくしま・ひろし)