最も日本人の40発から遠ざかっている球団
昨オフはFA市場には目もくれず、それでいて金子弌大や王柏融といった“独自路線”の大物獲得が話題を集めた日本ハム。例年以上の本気度で補強を行った一方、昨季まで4シーズンともに戦ってきた大砲ブランドン・レアードが退団。ファンから親しまれ、4年間で通算131本塁打を放った男が同リーグのロッテに移籍した。
日本ハムにとって、“長打部門”でレアードの穴を埋めるのは簡単なことではないだろう。新たに獲得した王柏融は台湾プロ野球で4割超えの打率を2度マークした実績があり、2017年には31本塁打を放って本塁打王にも輝いているが、やはり日本でどれだけやれるかというところは未知数。ここまでの対外試合を見ていると期待も膨らんでくるが、過信は禁物だ。
となると、長打力の補填は日本人選手の奮起に期待せざるを得ない。しかし、実は日本ハムには少し意外な記録がある。「12球団で最も日本人選手のシーズン40本塁打が出ていない」チームなのだ。
球団の日本人選手で最後に40発の大台に到達したのは、1972年の大杉勝男氏までさかのぼらないといけない。当時はまだ東映フライヤーズだった時代である。
大杉氏よりも最近というと、外国人選手ではソレイタが1980年と81年に、セギノールが2004年にそれぞれ40本塁打以上を放っているのだが、“日本ハム”になってから40本塁打超えを果たした日本人選手はまだいない。
終止符を打つ日は近い…?
日本ハムといえば、比較的本塁打が生まれやすい東京ドームを本拠地にしていた時期も長かったのだが、大杉氏以降で40本の大台に最も近づいた日本人選手は、2005年に37本塁打を放った小笠原道大だった。
果たして今季、シーズン40本塁打以上記録する日本ハムの選手は生まれるだろうか……。筆頭候補はもちろん、不動の4番・中田翔だろう。
今季が11年目で、4月に30歳を迎える中田。常にフルスイングが信条のスラッガーはここまで通算202本塁打を放っており、シーズン20本塁打以上も5回を数える。しかし、シーズン最多はというと2015年の30本塁打と意外と少ない。入団当時のポテンシャルを考えれば、物足りない10年だったとも言えるだろう。
本人も常々、本塁打より打点を重視する旨の発言をしており、「ホームラン」にそこまでのこだわりは持っていないようだ。それでも40本塁打を狙えるだけの選手ではあることは紛れもない事実。いつ大台達成があっても驚けない。
中田以外にもう一人、40発の可能性を感じさせる選手がいる。高卒2年目の清宮幸太郎だ。
高校時代には歴代1位とされる通算111本塁打を放ち、ドラフトでは高卒選手としては最多となる7球団が競合した逸材。1年目の昨季も53試合に出場し、打率はちょうど2割とやや苦しんだが、7本塁打を記録して大器の片鱗は見せた。
二軍では45試合で17本塁打。実に3試合に1本以上というハイペースでアーチを描いており、2年目の今季は飛躍に期待がかかる。今季いきなりの40本塁打達成はさすがに厳しいかもしれないが、今後2~3年以内にはその数字を意識させるだけの選手には育っていくだろう。
日本ハムが「最も日本人の40本塁打から遠ざかっている球団」のレッテルをはがす日はいつになるか。日本人スラッガーの奮起に期待したい。
文=八木遊(やぎ・ゆう)
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※お詫びと訂正(2019年2月28日12時10分)
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初出時、清宮選手の1年目の本塁打数が「8本」となっていましたが、正しくは「7本」になります。お詫びして訂正いたします。