コラム

2つの誤算から見るプロ野球開幕

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巨人の入団記者会見で原監督とポーズをとるビヤヌエバ(右)とクック

白球つれづれ2019~第12回・誤算から見る“やぶにらみ開幕”~


 巨人の監督に復帰した原辰徳が就任早々、名言(迷言?)を発している。

「チームを作る上では足し算もあれば、引き算もある」

 広島から丸佳浩、西武から炭谷銀仁朗をFAで獲得した際に、人的補償として長野久義と内海哲也を放出せざるを得なかった台所事情を表現したものだ。たとえ、チーム生え抜きの幹部候補生でも改革のためには大きな決断をする。その答えは秋に出る。

 プロ野球はいよいよ29日にセ・パ同時開幕する。この時期になると評論家による順位予想が恒例。だが、この予想、ほとんど外れるケースが多い。ひとつはオープン戦で元気のいいチームに目が奪われること。さらに評論家の元所属したチームへの配慮や地域への思いやりも働く。そこに、シーズン中の故障などで戦力バランスが崩れていくチームもある。

 ちなみに、最近5年間のオープン戦首位チームとシーズンの結果を見ても2015年のソフトバンクがリーグ優勝した以外は、すべてV逸で17年のロッテに至っては春先の勢いは消えて最下位に終わっている。さて、今年の首位は広島で決まったが、シーズンの結末はいかに?


今年のプロ野球は混戦に!?


 長いペナントレースを見渡した時、各チームともに2つの誤算がある。文字通りに故障などで戦列離脱を余儀なくされる「誤算」と、新たな戦力としてチームの底上げが期待できる「うれしい誤算」だ。この観点から見ていくと、今年は史上まれに見る混戦が予想される。

 まず、セ・パ共に評論家諸氏が優勝もしくは上位に予想するチームについてチェックしたい。

 セ・リーグから見ていくと、V4の呼び声が高い広島は、エースのK・ジョンソンがコンディション不良で最後のオープン戦先発を回避するなど先行きが不透明。さらに自慢の打線も丸の抜けた3番を、あれこれテストしたが、結果は出ていない。この数年、不安材料を抱えながら代役が出てくるのがこのチームの強みだが、気になる誤算でもある。

 対抗馬と呼ばれている原・巨人では、C・ビヤヌエバとR・クックの新外国人の評価が低い。特に新守護神と期待するクックにはライバル球団のスコアラーから「クイックができないから、走りやすそう」と重大欠陥まで指摘される有様。近年の野球はセットアッパーと抑えから逆算して投手陣の編成をするのが常識。このあたりが解決できないと、今年も接戦に弱い部分は解消できないだろう。


阪神は台風の目になるか!?


 パリーグに移ると、日本一のソフトバンクもリーグ制覇の西武も故障者だらけ。特に西武は先発ローテーションに計算していた内海哲也、榎田大樹に、即戦力ルーキーとして獲得した松本航までが故障や病気で離脱。メジャー挑戦で海を渡った菊池雄星の穴も大きい。監督の辻発彦も「痛いなんてもんじゃない」とうめくばかりだ。3投手とも4月から5月頃には復帰が見込まれているため、開幕からしばらくは勝率5割ラインで耐え、その後の反転攻勢に賭けるしかないだろう。

 王者・ソフトバンクもこの2年は故障者だらけだ。最大の誤算は、股関節手術から復活を期すD・サファテの不調と自律神経失調症と診断された中村晃。ともにチームの屋台骨を背負う主力だけに指揮官の工藤公康も頭が痛い。他には楽天の則本昂大に、中日の松坂大輔、DeNAの東克樹らの投手陣、打者ではレギュラー定着を期待された日本ハム・清宮幸太郎の故障離脱も大誤算である。

 一方でうれしい誤算の代表格は、阪神・木浪聖也と近本光司の両ルーキーだろう。オープン戦の活躍が認められ、開幕戦先発出場どころか、1、2番を任されることが内定している。このフレッシュな先兵コンビが額面通りに働けば、投手陣に西勇輝(前オリックス)、O・ガルシア(前中日)と2ケタ勝利の計算できる新戦力の加入と併せ、台風の目になり得る資格は十分だ。

 もうひとり、うれしい誤算組でおススメは、ヤクルトの村上宗隆。高卒2年目で「6番・サード」の定位置をほぼ手中に収めた。将来性は清宮と匹敵する大砲。大化けすればチームも優勝争いに食い込みそうだ。離脱組がいつから戦列に戻るのか? うれしい誤算組はどこまで勢いを持続できるのか? 悲喜こもごものドラマを生みながら、新たなシーズンが幕を開ける。


文=荒川和夫(あらかわ・かずお)
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