今季のア・リーグ中地区は…?
1週間前に日本で開幕戦が行われたメジャーリーグ。とはいえ、2019年シーズンの開幕を迎えたのはマリナーズとアスレチックスの2チームだけ。他のチームはと言うと、現地時間28日(日本時間29日)に一斉に2019年の初陣を迎える。
今回はMLBの本土開幕を前に、いよいよ始まる新シーズンの見どころや注目ポイントを地区ごとに紹介。ここでは、ア・リーグ中地区を取り上げる。まずは、シーズン展望の前に昨年の順位をおさらいしておこう。
▼ 2018・AL中地区順位表
2位 ツインズ(78勝84敗)
3位 タイガース(64勝98敗)
4位 ホワイトソックス(62勝100敗)
5位 ロイヤルズ(58勝104敗)
【インディアンス】
2016年にワールドシリーズに進出して以降も102勝・91勝と安定した強さを見せ、ここまで地区3連覇中。オフには通算198発の強打者カルロス・サンタナを獲得しており、地区4連覇は濃厚だ。昨季はメジャー6位の216本塁打を放った一方で、盗塁数もメジャートップの135個を記録。パワーとスピードが掛け合わさった打線はライバル球団の脅威となるだろう。
投手陣は、昨季オールスター前に4.00だった防御率がオールスター後は3.44と大きく改善。5人の先発投手が2ケタ勝利を挙げ、彼らはそろって残留した。抑えにはシーズンを通して不振だったコディ・アレンに代わってブラッド・ハンドを据え、必勝を期す。
【ツインズ】
ここ5年は勝ち越しと負け越しを交互に繰り返している。昨季はメジャーワースト8位の166本塁打と、打線は長打力不足に泣いたが、オフにネルソン・クルーズとC.J.クローンの30発コンビを獲得した。37歳のロッコ・バルデッリ新監督の下、昨季不発に終わった機動力野球を展開できれば、シーズン勝ち越しが見えてくるだろう。
投手陣は先発投手の頭数はそろったが、絶対的エースは不在。過去2年で合計26勝のホセ・ベリオスはまだ24歳と若く、飛躍すればインディアンスに次ぐ地区2位は確保するだろう。
【タイガース】
2年連続64勝と低迷モードに突入したタイガース。昨季のチーム防御率はリーグワーストの5.36と投手陣が打ち込まれた。オフに目立った補強もなく、今季は100敗を避けるのがやっとか。ただし、マイナーには生きのいい若手投手を複数抱えており、数年後に投手王国を築く可能性を秘めている。
ほぼリーグ平均の得点力を誇った打撃陣はミゲル・カブレラの復活が必須だろう。衰えたとはいえ、まだ35歳。オープン戦でも打棒復活の兆しを見せており、ケガさえなければ30本塁打もまだ可能なはずだ。
【ホワイトソックス】
現在6年連続負け越し中のホワイトソックス。昨季は48年ぶりに100敗を喫するなど、苦いシーズンとなった。昨季は失点数がメジャーワースト2位タイ、失策数は同ワースト4位とディフェンスに大きな課題を抱えていた。オフにはイバン・ノバ、アレックス・コロメなど実績ある投手の獲得に成功。防御率が改善することは間違いないだろう。
一方、打線の方も昨季はリーグ最多の1594三振を喫するなど、つながりを欠いた。若い打者たちのレベルアップに期待がかかるが、大幅な得点力アップは見込めないだろう。それでも、多くのプロスペクトをマイナーに抱えており、2~3年後には優勝争いできるチームになるはずだ。
【ロイヤルズ】
昨季は12年ぶりのシーズン100敗。2015年の世界一から僅か3年でどん底に転落した。当時の主要メンバーの多くもすでにチームを離れ、再び低迷期に突入したと言っていいだろう。4年前のワールドシリーズでMVPに輝き、ロイヤルズ一筋のサルバドール・ペレスは昨季もチームトップの27本塁打と活躍。しかし、今月にトミージョン手術を受け、今季中の復帰は絶望的となっている。精神的支柱を失った痛手は投打に大きな影響を及ぼしそうだ。
・まとめ
インディアンスの1強ムードが漂うが、唯一対抗できるとすればツインズだろう。残りの3チームは再建モードのシーズンを送ることになるだろう。ホワイトソックスの若手有望株が早めにメジャーに定着するようなら面白い存在になるかもしれない。
文=八木遊(やぎ・ゆう)