コラム 2019.04.23. 16:35

井口・ロッテ、上位浮上へ“原点回帰”が功を奏す?

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ロッテ・井口監督 (C) KYODO NEWS

強打のロッテから一転?


 現在8勝11敗で西武と並びパ・リーグ4位のロッテ。今季は開幕第2戦から5連敗、今月中旬には4連敗とシーズン序盤は厳しい戦いが続き、14日の時点で4勝10敗と苦しんでいた。

 しかし、ちょうど1週間前の16日ソフトバンク戦から4連勝。その4試合で3失点とロッテ投手陣の奮闘が光った。21日の日本ハム戦は打線がつながらず連勝は4で止まったが、開幕直後は不安定だった投手陣の安定ぶりは、ロッテファンにとって希望の光と言えるのではないだろうか。

 そして一方の打線にも、ちょっとした変化が見られる。

 就任2年目の井口資仁監督は、今季開幕から加藤翔平を2番打者に起用。打ってつなぐ2番打者として、犠打のサインは送ってこなかった。その加藤だけではなく、今季のロッテは、4連勝が始まる前の開幕14試合目までチーム合計でも、犠打は「2」つのみと、送りバントに頼らない攻撃的な野球を展開してきた。

 そんななか、井口監督は14日の日本ハム戦で今季初めて2番に荻野貴司を起用。その後、一度は加藤に戻したものの、ここ数試合は出塁率の高い荻野を1番に置き、得点圏打率が3割を超える3番・中村、4番・角中につなぐ2番の役割を、藤岡裕大に任せている。そして4連勝が始まったここ5試合は、いずれも犠打を用いて(各試合1つずつ)、確実に1点を奪う野球を展開。5つの犠打のうち3つが得点につながっている。

 今季のロッテが開幕から攻撃的な野球を展開したのは、今季から本拠地マリンスタジアムにホームランラグーンが設置されたことも大きかったはず。しかし、投手陣の奮闘と共に接戦を演じる機会が増え、“原点回帰”を図ったと考えていいだろう。ちなみにロッテは昨季、パ・リーグ2位の108犠打を記録している。

 井口監督といえば、現役時代は日本では三拍子そろった中距離打者としてホークスの黄金期を支え、メジャー時代は小技も使える2番打者として、世界一も経験。トップレベルのチームにおいて様々な野球を経験してきた。不振によりファームで調整していた井上晴哉が一軍への復帰を果たすなか、2番打者の起用法も含め、臨機応変に対応していく井口監督の采配に注目したい。

 今週は4位で並ぶ西武と3連戦、そして土曜日からは現在首位に立つ楽天との3連戦が待つ。本拠地で本塁打が出易くなった今季だからこそ、確実に1点を取りに行くスモールボールのメンタリティーがより重要になる場面もあるはず。井口・ロッテの反攻に期待したい。


文=八木遊(やぎ・ゆう)

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