自己最多ペースで本塁打を放つ坂本勇人
5月に入ってもセ・リーグの首位をがっちりキープするなど、好調な滑り出しを見せた巨人。その最大の立役者となっているのが、チームの主将を務める坂本勇人ではないだろうか。2番打者として迎えた開幕戦から安打を量産し、1977年に王貞治が達成した33試合連続出塁記録に並ぶなど、その勢いはとどまることを知らない。打率は5月8日終了時点で「.336」。すぐ後ろには 鈴木誠也(広島)やチームメイトの丸佳浩(巨人)がいるが、現時点では堂々のセ・リーグトップに君臨している。そして、それ以上に目を見張るのが“本塁打”の数である。
プロ入り4年目の2010年に31本塁打を放っているとはいえ、坂本のシーズン平均本塁打は16.6本。過去2シーズンは15本、18本で推移していたが、今季は開幕からアーチを量産し、こちらもセ・リーグトップの12本塁打をマークしている。このままいけば自身2度目のシーズン30本塁打以上だけでなく、本塁打王のタイトルも見えてきそうな勢いだ。
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坂本が守るショートといえば、守備の負担が大きいポジションでもある。そのためか、打力よりも守備力が優先されることも多い。歴代でも強打のショートは貴重な存在で、シーズン30本塁打を記録したケースは、2010年の坂本を含めてわずか13例。延べ5人しか存在しない。
坂本の他にシーズン30本塁打以上を達成した打者には、どんな選手がいたのだろうか――。
ショートの本塁打王はひとりだけ
▼ 宇野 勝(中日)82年:125試合(打率.262 30本塁打 69打点)
84年:130試合(打率.253 37本塁打 87打点)
85年:130試合(打率.274 41本塁打 91打点)
87年:130試合(打率.277 30本塁打 80打点)
※ベストナイン(82,84,87)
※本塁打王(87)
▼ 池山隆寛(ヤクルト)
88年:130試合(打率.254 31本塁打 81打点)
89年:130試合(打率.264 34本塁打 74打点)
90年:130試合(打率.303 31本塁打 97打点)
91年:132試合(打率.269 32本塁打 80打点)
92年:127試合(打率.279 30本塁打 79打点)
※ベストナイン(88-90,92)
▼ 野村謙二郎(広島)
95年:131試合(打率.315 32本塁打 75打点)
※トリプルスリー、最多安打、ベストナイン
▼ 松井稼頭央(西武)
02年:140試合(打率.332 36本塁打 87打点)
03年:140試合(打率.305 33本塁打 84打点)
※トリプルスリー、最多安打(02)
※ベストナイン(02,03)
▼ 坂本勇人(巨人)
10年:144試合(打率.281 31本塁打 85打点)
2010年に達成した坂本の他には、主にショートを守って通算338本塁打を放った宇野勝、5シーズン連続で達成した池山隆寛にトリプルスリーを達成した野村謙二郎、松井稼頭央とそうそうたる顔ぶれが並んでいる。本塁打王を獲得したのは1984年の宇野のみだが、ほとんどの選手がその年にタイトルを獲得している。
5月8日終了時点、本塁打数でセ・リーグのトップに立っている坂本は、このまま順調に本塁打を積み重ね、史上ふたり目、35年ぶりとなる「ショートの本塁打王」となるのだろうか。
文=福嶌弘(ふくしま・ひろし)