10戦目は7回途中3失点で勝ち負けつかず
マリナーズの菊池雄星投手が13日(日本時間14日)のアスレチックス戦に先発。6回を投げ、3本のソロ本塁打を打たれ3点を失ったが、チームが終盤に追いつき敗戦投手を免れた。
この試合がデビュー10戦目の先発マウンドだった菊池。これまでも、この試合と同様に勝ち負けがつかないケースが多く、今季の成績は2勝1敗となっている。防御率は、一時「4.68」まで膨れ上がったが、ここ数試合の安定した投球で「3.64」まで良化させている。
過去にデビューからの10登板が全て先発だった日本人投手は菊池を含めて13人(1試合でも救援登板があれば対象外)。過去の12人と菊池のデビュー10試合時点の成績で比較してみた。
▼ 日本人先発投手デビュー10試合の成績
95年:野茂英雄(ドジャース)
<4勝1敗、防御率2.62、65.1回、83奪三振>
98年:吉井理人(メッツ)
<4勝1敗、防御率2.25、60回、42奪三振>
02年:石井一久(ドジャース)
<8勝1敗、防御率2.90、62回、63奪三振>
07年:松坂大輔(レッドソックス)
<7勝2敗、防御率4.43、67回、64奪三振>
08年:黒田博樹(ドジャース)
<2勝3敗、防御率3.48、62回、34奪三振>
09年:上原浩治(オリオールズ)
<2勝4敗、防御率4.37、55.2回、41奪三振>
09年:川上憲伸(ブレーブス、2009年)
<3勝6敗、防御率4.63、58.1回、46奪三振>
12年:ダルビッシュ有(レンジャーズ)
<7勝2敗、防御率3.25、61回、66奪三振>
14年:田中将大(ヤンキース)
<7勝1敗、防御率2.29、70.2回、79奪三振>
14年:和田 毅(カブス)
<4勝2敗、防御率2.95、55回、46奪三振>
16年:前田健太(ドジャース)
<4勝3敗、防御率3.00、57回、51奪三振>
18年:大谷翔平(エンゼルス)
<4勝2敗、防御率3.31、51.2回、63奪三振>
19年:菊池雄星(マリナーズ)
<2勝1敗、防御率3.64、54.1回、43奪三振>
13人の名前を見ればわかる通り、どの選手もその時代の日本球界を代表するエース級の投手たちだ。1年目にオールスターの先発マウンドを任された野茂はデビュー10試合時点では意外と少なく4勝しかしていなかった。6戦目まで勝利がなく、メジャー初勝利の7戦目から4連勝である。
その野茂を筆頭に菊池を含めた10投手がデビュー10試合時点で勝ち越していた。最も多くの勝利数を挙げていたのは石井一久で8勝。こちらは野茂とは対照的にデビューから6連勝を飾る鮮烈な米国でのスタートだった。7勝の松坂大輔、ダルビッシュ有、田中将大が、石井に次いで2位で並ぶ。
最も少ないのは、上原浩治、黒田博樹、菊池雄星の3人で2勝。上原の1年目は故障もあり、2勝でシーズンを終えたが、黒田は最終的に9勝までその数を増やし1年目を終えている。
▼ 勝利数ランキング
8勝:石井
7勝:松坂、ダルビッシュ、田中
4勝:野茂、吉井、和田、前田、大谷
3勝:川上
2勝:上原、黒田、菊池
防御率は、2点台と3点台が5人ずつ。3人が4点台だった。菊池の3.64は13人中10位だが、決して悪い数字ではない。
最も多くの投球回を記録したのは田中で70.2回。1試合平均換算で唯一の7イニング超えである。菊池の54.1回は大谷に次いで2番目に少ないが、メジャーではここ数年、継投策が極端に早まっており、先発投手のイニング数減少は時代の流れともいえるだろう。なにより菊池のデビュー7戦目は1イニング限定のショートスタートだったため、13日の登板が実質デビュー9戦目だったともいえる。
▼投球回数ランキング
70.2回:田中将大
67.0回:松坂大輔
65.1回:野茂英雄
62.0回:石井一久
62.0回:黒田博樹
これまでメジャーで投げてきた偉大な先輩たちに比べて菊池の“メジャースタート”はまずまずといったところだろう。確かに勝利数は伸びていないが、一方で敗戦数も「1」にとどめている。今後も適切なタイミングでショートスタートを挟むなどし、シーズンを通じてフレッシュな状態を保つことができれば、おのずと勝利数もは増えていくだろう。
文=八木遊(やぎ・ゆう)