終盤3イニングでの逆転は至難の業
投手の分業化が確立された現代のプロ野球。どのチームにも“勝利の方程式”や“勝ちパターン”と呼ばれる継投策があり、先発投手が6回まで投げてリードしていれば、7回以降は“勝ちパターン”で締めくくることが当たり前となってきた。もちろん点差にもよるが、残り3イニングで各球団の勝ちパターンを打ち崩すことは容易ではない。
しかし、ビハインドのチームもただ黙って抑え込まれているわけではない。ときには7回以降に打線が奮起して逆転し、勝利をもぎ取ることもある。特に終盤の逆転劇は、ファンなら誰もが興奮することだろう。
そこで今回は、6回ウラ終了時点をビハインドで迎えたチームの勝敗を調べてみた。まずは逆転勝率の上位6チームを見てみたい(※成績は全て2019年6月9日現在)。
セ界王者の底力?!
1位(勝率.231)広 島:6勝20敗
2位(勝率.208)楽 天:5勝19敗1分
3位(勝率.200)阪 神:6勝24敗
4位(勝率.179)ロッテ:5勝23敗
5位(勝率.167)日本ハム:4勝20敗2分
6位(勝率.130)西 武:3勝20敗1分
1位の広島でも2割台と低く、7回以降に逆転して勝つことが、いかに難しいかがわかる。それでも1位は今季もセ・リーグ首位を走る広島というところに、あらためてリーグ3連覇チームの底力を感じさせる。そして、ここまで逆転勝ちが多い楽天が2位という結果だった。
3位の阪神は、12球団で最も代打打率(.308)が高いチームでもある。6回ウラ終了時点で2点ビハインドながら、9回に代打・原口文仁のサヨナラタイムリーで勝利を収めた6月9日の対日本ハム戦や、巨人戦の代打・高山俊のサヨナラ満塁ホームランなどは、記憶に新しいところ。続いて、7位以下のチームを見ていきたい。
先行逃げ切り派が下位に
7位(勝率.120)オリックス:3勝22敗
8位(勝率.087)DeNA:2勝21敗
9位(勝率.067)ヤクルト:2勝28敗2分
10位(勝率.050)巨人:1勝19敗1分
11位(勝率.000)ソフトバンク:0勝16敗
11位(勝率.000)中日:0勝24敗
巨人とソフトバンクの数字は意外にも見えるが、そもそもビハインドで7回を迎える数自体が他球団ほど多くない点もあるだろう。未だに7回以降の逆転劇がない中日とソフトバンクに共通しているのは、2割に満たない代打打率の低さ。様々な要因はあるものの、ここ一番のところで切り札となる選手が現れないことも一因と言えそうだ。
ちなみに、6回ウラの時点で同点だった場合を見てみると、ソフトバンクは5勝4敗1分。一方の中日は2勝8敗と踏ん張り切れていないケースが目立っている。ペナントレースが本格化し、疲れも見え始める夏場以降、こうした傾向がどう順位に影響してくるかにも、注目してみたい。
文=福嶌弘(ふくしま・ひろし)