ナ・リーグ本拠地では主に代打起用
エンゼルスの大谷翔平が現地時間23日(日本時間24日)のカージナルス戦に代打で登場。強烈な打球を右前に運び、今季5回目の代打起用で初安打を記録した。
これで大谷の通算代打成績は27回の起用で、23打数7安打(打率.304)。昨季は代打で6安打を記録しているが、そのうちの2本が本塁打だった。
守備に就かない大谷にとって、ナ・リーグ球団の本拠地では主に代打での起用が続く。ただでさえ難しい代打の役割だが、初対戦が多くなるナ・リーグの投手相手に代打の通算打率が3割を超えているのは適応力が高い証左と言えそうだ。
ちなみに通算打率.311のイチローは、代打起用が通算266回あり、打率.261(238打数62安打)、2本塁打、22打点。松井秀喜は、代打で61回起用され、打率.260(50打数13安打)、1本塁打、8打点だった。ふたりとも代打起用はキャリアの終盤が主だったとはいえ、メジャーで活躍した偉大な先輩2人も、代打では“平凡な”数字に終わっている。
色々な記録更新という楽しみ
メジャー2年目の大谷にとって、来季以降、二刀流を続けるのかどうか、いずれは守備につく可能性もあるだろう。それでも、しばらくは代打での起用が増えることは間違いない。
そこで期待したいのが、代打本塁打のメジャー記録更新。シーズン最多は、2人が記録している7本塁打。2000年に元阪神のデーブ・ハンセン(当時ドジャース)が、翌2001年にはクレイグ・ウィルソン(当時パイレーツ)が、それぞれ記録した。さすがの大谷でも、基本的には「3番・指名打者」がメインとなるため、数少ない代打の機会でシーズン7本塁打は難易度がかなり高い。
可能性があるとすれば、通算本塁打記録の方か。歴代最多は、かつて中日でもプレーしたマット・ステアーズの「23本塁打」となっている。代打で通算15本塁打以上を記録したのは9選手のみと、当然ながら代打で本塁打を放つことは容易ではない。
大谷のメジャーリーグでのキャリアはまだまだ始まったばかり。その起用法が今後どうなっていくのか未知数な部分は大きいが、昨季は二刀流として幾つかのベーブ・ルースの記録を呼び起こしてきた。今後も代打での起用が続けば、大谷がステアーズの記録を破る日が来るかもしれない。
文=八木遊(やぎ・ゆう)